ソフトバンクテクノロジーの石川憲和社長
ソフトバンクテクノロジーの石川憲和社長
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 ソフトバンクテクノロジー(SBテクノロジー)は2009年4月28日,2009年3月期の決算説明会を開催した。2009年3月期の売上高は293億7100万円(前年度比0.5%増)と前年度とほぼ同水準を維持したが,営業利益は6.9%減の10億600万円となった。経常利益は,持分法適用会社の利益が減少したことが響き,11.7%減の10億6800万円となった。

 石川憲和代表取締役社長(写真)は,利益率悪化の主な原因を「モバイル事業を手がける子会社MOVIDA SOLUTIONSでの先行投資と,システム/ネットワーク構築事業で稼働率が下がったこと」とした。

 ただし今期の業績についてはそれほど悲観していない。「ここ2~3年,事業のサービス化を優先して進めた結果,事業の7割方を運用やASPなどのサービスになった。利益が減少したことは大変申し訳ないが,比較的打たれ強い体質になったのではないか」と語った。

 同社の事業は「イービジネスサービス事業」と「ソリューション事業」からなる。イービジネスサービスとはEC事業者向けの運用受託サービスなどだが,ここ数年売り上げが徐々に減っており,2008年度の売上高も前年度3.1%減の172億300万円となった。ただし利益率の面では同社の稼ぎ頭であり,営業利益は1.7%増の9億4900万円となった。

 逆に増収減益だったのがソリューション事業で,売上高は121億6800万円(6%増),営業利益は5700万円(61.2%減)となった。石川社長が挙げた2つの利益悪化要因はいずれもこの分野で発生した。だが石川社長は「モバイル分野の先行投資が一段落したことから,ソリューション分野の営業利益は大きく上向くとみている」とし,さらに内製化などにより稼働率を向上させる考えを示した。

 同社は現在,EC事業者向けに提供する「Online Business Solution&Service」と呼ぶサービス群を再構築中。2009年4月1日に発足させた「事業開発部」という組織で進めている。IT基盤から個々の業務支援までの多数のサービス群を整理して,従来よりも顧客の悩みや目標に直接訴えるメニューにするという。

 特に大きく変わるのはデータセンター・サービスなど,IT基盤を提供するサービスだ。「ただIT基盤を提供しますというのではなくコスト削減,セキュリティ強化という2つの課題解決の手段として提案できるように組み直す」(同)。既に営業職の教育とカタログなどの変更を進めており,下期には本格的に営業活動を開始する。

 2009年度については「腰を低くして地固めをする年」(同)とし,業績予想は売上高が2008年度から1.3%減の290億円,営業利益は0.7%減の10億円とした。