米Googleが準備を進める書籍検索サービスについて、日本ビジュアル著作権協会(JVCA)は4月25日、会員174人が、著作権侵害に対する和解案からの離脱(オプト・アウト)を決めたと発表した。Googleに通知を送り、別途交渉を進める予定。JVCAによると、離脱を決めたのは詩人の谷川俊太郎氏や脚本家の倉本聰氏など。

 Googleは、書籍検索サービスを巡って2008年10月に米国の作家協会(The Authors Guild)や出版協会(Association of American Publishers)との訴訟に和解し、収益の一部を著作権者に支払うことに合意した。米国の法制度上、日本でも著作権者が離脱の手続きをとらない限り和解案に合意したとみなされ、Googleの書籍検索サービスの対象になる。

 Googleが2月下旬に日本の新聞などに和解案の公告を掲載し、回答期限を5月5日までと設定したが、JVCAは和解案に対し判断を下すには2カ月という時間は短すぎると主張している。また和解案には日本の著作権者、出版関係者の意見はまったく入っていないと指摘した。離脱手続きにより、回答期限の拘束を受けずにGoogleの行為を検証し、適切な交渉を進める考え。

 これに先立ち日本文藝家協会は4月15日、いったん和解案に応じたうえでGoogleに対し個々にデータの削除を要求することを会員に勧める方針を発表している。また日本ペンクラブは同月24日、和解案については評価作業を継続中としたうえで、Googleの行為は日本の著作権上は複製権違反に当たるとの見解を示した。和解案に応じれば米国内のルールを世界基準として事実上容認することになり、安易に判断できないとしている。

■関連情報
・日本ビジュアル著作権協会のWebサイト http://www.jvca.gr.jp/