世界保健機構(WHO)による豚インフルエンザウイルスの人への感染事例の発表を受け、大手ITベンダー各社はメキシコ渡航規制などを進めていることが分かった。出張目的の渡航の禁止・自粛、現地駐在従業員の家族の帰国を呼びかけるほか、対策本部の設置などを急ぐ。一部企業は米国も警戒している(関連テーマサイト「パンデミックに挑む」)。

 NEC、NTTデータ、日立製作所はメキシコ渡航の自粛や禁止などの制限を設ける。NECは出張目的のメキシコ渡航を自粛、旅行目的の場合は事前に届け出た上で帰国後体温が38度以上の場合は出社禁止などの規則を設ける。通信機器の販売・保守を行うNECメキシコの社員300人に感染報告はなく、現時点では通常通り操業予定だという。

 日立は出張・旅行目的の渡航を原則禁止した。メキシコに駐在する従業員の家族には帰国を呼びかける。

 NTTデータも出張目的のメキシコ渡航を禁止、旅行も自粛させる。米国への出張も現地情報を入手して予防対策を講じた上で十分注意して渡航するよう呼びかける。米国への旅行は現地情報を入手して是非を判断するよう社員に呼びかける。

 日本IBMはメキシコへの渡航を可能な限り控える、海外渡航時はマスクを着用する、該当地域ではマスクを着用するなどの注意書きを本日付で社員に向けて通知した。

 日本オラクルや富士通、マイクロソフト日本法人は27日時点で渡航規制などの措置は行っていない。日本ヒューレット・パッカードも27日時点では渡航規制はしていないが、海外出張者には個別対応する予定としており自粛も検討する。メキシコ拠点を擁する富士通グループ会社の富士通テンでは出張目的のメキシコ渡航の自粛を現在検討中だという。

 各社とも災害対策本部も設置している。NTTデータは4月25日付で本社に「海外安全対策本部」を設置。現地との連絡を密にして情報を把握し、渡航自粛指示や解禁の判断を速やかにするのが狙い。他ベンダーはすでに設置している災害対策、リスク対策本部で同様の情報収集に努める。