富士通は2009年4月27日、クラウドコンピューティング・サービス「Trusted-Service Platform」の概要を発表した。富士通のデータセンターで運用するIT資源を仮想マシン単位で顧客に貸し出すサービスが主な内容。10月に群馬・館林に完成するデータセンター新棟を拠点に、今後3年間で3000億円のサービス売り上げを目指す。

 館林のデータセンター新棟で、クラウドサービス向けに約1000台のサーバーを運用する。サーバーやストレージ、OS、ミドルウエアといったIT資源を貸し出す「システムプラットフォームサービス」に関しては、まずはメールやグループウエア、CRM(顧客情報管理)などのフロントシステム(情報系システム)の運用を対象とする。月額17万5000円の固定料金のほか、IT資源の利用に応じた従量制の課金が発生する。

 サービスの本格開始は10月だが、本日より営業活動を開始する。石田一雄上席常務は、「日本の顧客は(米グーグルや米アマゾン・ドット・コムのような)米国のクラウド事業者が提供するSLA(サービスレベル・アグリーメント)では満足しない。年間稼働率99.99%に達するようなSLAや、高度なセキュリティ水準を目指す」と力説する。

 IT資源の貸し出しサービス以外にも、様々な端末から単一のID/パスワードでクラウドにアクセス可能にする「ネットワークサービス」や、顧客のデータセンターを遠隔監視する「セキュリティサービス」、サーバーやアプリケーションの稼働状況やシステムの消費電力などを監視する「マネジメントサービス」などを提供する。監視サービスの料金は月額25万円から。

 プラットフォームサービスの提供と合わせて、顧客が基幹システムの一部をクラウド上に移行するのを支援する「クラウドインテグレーションサービス」を開始する。5月に「クラウドサービスインテグレーション室」を新設して、クラウド環境で利用するシステムと企業内で構築・運用するシステムの切り分けを助言する。