写真 MARプログラムを利用して出荷される中古パソコンにはCOAラベルが二つ貼付される。
写真 MARプログラムを利用して出荷される中古パソコンにはCOAラベルが二つ貼付される。
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 マイクロソフトは2009年4月23日,中古パソコンを対象としたWindowsライセンスを提供する「Microsoft Authorized Refurbisherプログラム」(以下,MAR(マー)プログラム)を開始した。同プログラムは,中古パソコンを販売するパートナー企業を通じて,中古パソコン専用のWindowsライセンスを安価で提供するというもの。個人や一般企業が,このライセンスだけを購入することはできない。

 マイクロソフトは,2008年に中古パソコン市場で流通した159万台のうち,約7割が同社製のOSを搭載していなかったと説明。その中の相当数が,「海賊版」と呼ばれる不正にコピーされたWindowsを利用していると指摘した。このような海賊版は,ネット・オークションや露天商を通じてユーザーが容易に入手できる。

 同社のビジネスWindows本部の中川 哲本部長は,「中古パソコンの多くは,新品として出荷されたときには正規のWindowsライセンスが付属している。MARプログラムでは,中古パソコン用としてWindowsの『セカンダリ・ライセンス』を提供するもの」と説明する。元々のライセンス(プライマリ・ライセンス)は失効したわけではなく,リカバリ・メディアの紛失や破損といった理由で使えなくなっている。そのため,通常のライセンスと違い「ライセンス料は,リカバリ用のメディア代とその流通にかかるコストといった実費程度」(中川氏)としている。

 MARプログラムで提供されるWindowsの種類は,「Windows XP Home Edition」と「同Professional」の二つ。原則,プライマリ・ライセンスと同じエディションとなる。また,「プライマリ・ライセンスがWindows XP以外,例えば95や98といった違うバージョンであっても,ハードウエア要件を満たせば提供する」(中川氏)としている。

 MARプログラムに参加するパートナー企業は,ソフマップやパシフィックネット,ヤマダ電機など,中古パソコンを扱う大手9社。製品は,パートナー企業がマイクロソフトから提供されたリカバリ・メディアを利用してセットアップを行ってから販売する。パソコンごとに異なるデバイスのドライバなども,パートナー企業がインストールする。製品は出荷される際,写真のように当初の出荷時に付けられたプライマリ・ライセンスの証明シール(「COAラベル」という)に加え,新しくセカンダリ・ライセンスのCOAラベルが貼付される。ユーザーは,これを見て製品がセカンダリ・ライセンスか否かを判断できる。

 なおMARプログラムを利用した中古パソコンは,ほとんどの場合OS標準のソフトウエアだけでセットアップされる。例えば,新品の時にプリインストールされていたオフィス・ソフトや,テレビ・チューナ用の視聴/録画ソフトなどは付属しない可能性が高い。これらを入手したい場合は,ユーザーがパソコン・ベンダーに問い合わせて,新品のときに付属していたリカバリ・メディアを有償で入手するなどして,セットアップし直す必要がある。この場合,MARプログラムによるセカンダリ・ライセンスは無駄になるが,「MARプログラムは,そのような手間やスキルがユーザーに必要なくなる点に意義がある」(中川氏)と説明する。

■変更履歴
本文中でProfessionalのところをProffessional Editionとしていました。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2009/04/28 14:10]