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 NECは2009年4月23日、企業向けのクラウドサービスを発表した。同社がデータセンター、サーバー、OS、ミドルウエア、アプリケーションを用意し、複数の顧客のシステムを集約して運用する。従量課金のサービスとしても提供するのが特徴。利用者はシステムへの大きな初期投資が不要になる。NECはシステム基盤や業務プロセスの標準化と合わせ、「システム構築・運用コストを1~2割削減し、構築期間を2~3割短縮できる」(藤吉幸博執行役員常務、写真)とする。

 「クラウド指向サービスプラットフォームソリューション」の名称で、7月から提供する。サービス内容は(1)SaaS型、(2)共同センタ型、(3)個別対応型の3種類。(1)は企業ごとの違いがあまり大きくないアプリケーションを業種別に提供する。例えば自治体向けの基幹業務アプリケーション、金融機関向けインターネットバンキングシステムなどをSaaSとして用意する。

 (2)の共同センタ型は、複数の利用企業がコンソーシアムを形成して共通のシステム基盤、アプリケーションを利用する。SaaS型よりも柔軟にアプリケーションを組める。(3)の個別対応型は、利用企業のニーズに応じて個別にシステム構成、アプリケーションを決める。最も柔軟にシステムを組めるが、サービス利用開始までに時間とコストがかかる。

 クラウドサービス事業は「中期で年間1000億円の売り上げを目指す」(藤吉常務)。そのためにクラウドに対応できる人材の育成やデータセンターの拡充を進める。サービス、システム販売の垣根をなくしてコンサルティングやシステム構築、運用、保守を「ITサービスビジネスユニット」に集約する。サービス事業要員を1万人規模に拡大する。そのうち2000人をコンサルタントやプロジェクトマネージャ、技術スペシャリストなどの「中核人材」と位置付けて育成する。

 全国53カ所に保有するデータセンターも拡充を進める。クラウドサービスに適した設備への更改、ハードウエアの導入、仮想化環境の構築を進める。中期ではクラウドサービス向けに、数万台規模のサーバーが最高99.9999%のサービスレベルで稼働するデータセンター群に変えていく。