写真●NTTドコモコンシューマサービス部ネットサービス企画担当部長の前田義晃氏
写真●NTTドコモコンシューマサービス部ネットサービス企画担当部長の前田義晃氏
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 2009年4月23日,東京都内で開催された「ライフログ・サミット2009」において,NTTドコモコンシューマサービス部ネットサービス企画担当部長の前田義晃氏(写真)が講演した。同氏は「究極のパーソナル・エージェントを目指す――『i コンシェル』の現在とこれから――」と題し,ライフログを活用した同社の携帯電話向けサービス「iコンシェル」について,サービスを開始した背景,サービス概要,応用事例,そして今後の展開について語った。

 NTTドコモが1999年2月に開始したiモードからちょうど10年たった2009年現在,携帯電話の契約件数を1億件を超え,ほぼ飽和している。したがって各事業者は,より速く,競争力のあるサービス,止めにくいサービスをしかけていく必要がある。

 こうした状況のもと,NTTドコモは,携帯電話を行動支援ツールとして進化させる方向性を取った。その最重要サービスとして,2008年11月19日に開始したのが「iコンシェル」である。

 携帯電話は当初,コミュニケーション・ツールとして始まった。さらに,生活の中で便利に使える生活支援ツールとして,例えばおサイフケータイの提供が始まった。次の方向性として同社は,リアルな生活の中でより便利に携帯電話を利用できる「生活行動支援」というコンセプトを打ち出した。このコンセプトを実現するサービスが「iコンシェル」というわけだ。

 同氏は,「ポストiモード」という表現で,同社の中でのiコンシェルの重要性を示した。iモードも生活を便利にするために始まったサービスだが,iコンシェルはそれをもう一段階上のレベルに引き上げるものだという。

携帯電話が秘書や執事,コンシェルジェになる

 iコンシェルの契約者数は2009年4月11日時点で100万契約を突破。iモードはスタートから半年で100万契約に達している。iコンシェルはこれよりも速いペースであり,携帯電話の販売が落ち込んでいる状況を考えると,かなり検討しているという。

 同社は携帯電話に最新情報を表示させる「iチャネル」というサービスを提供しており,これが1年半で1000万契約を突破している。これと同じペースでiコンシェルの契約数が延びており,同じような時間軸での普及を目指していると述べた。

 iコンシェルは,携帯電話が秘書や執事,コンシェルジェのようにユーザーの“お世話”をするサービスだ。(1)ユーザー個人の生活エリアや趣味趣向に合わせた情報を自動的に配信・更新する,(2)待ち受け画面では,「マチキャラ」と呼ぶ羊のキャラクタが新着情報を教えてくれる――という二つの機能がポイントである。

 (1)については,ユーザーの嗜好や生活パターンに合わせ,サービスをパーソナライズする。今回のセミナーのテーマであるライフログを利用するものだが,現時点ではまだプリミティブな段階にあるという。

 (2)は「ひつじのしつじくん」というマチキャラがデフォルトで用意されている。コスプレ用の服に着せ替えたり,別のキャラクタに取り替えたりすることも可能だ。ユーザーに受け入れられるためには,こうした演出も大切だと述べた。