KDDIは2009年4月23日,2008年度(2009年3月期)の決算を発表した。連結決算の売上高は3兆4975億円,営業利益は4432億円。前年同期に比べて988億円(-2.7%)の減収,428億円の増益となった。

 減収の主な要因は,移動体通信事業である。移動通信事業単体の減収幅は1434億円(-5%),営業利益は465億円の増益(+10.2%)となった。通信料と端末料金を分離した割賦販売制度の導入によって,携帯電話機の販売価格が上昇した結果,端末販売台数は前年度に比べ32%も減少した。通期の携帯電話全体の純増数に占めるシェアは10.6%にとどまり,端末の在庫も増加した。KDDIは在庫端末169万台のうち65万台について,廃棄処分および評価損に組み入れ,257億円の損失を計上した。

 固定通信事業は,傘下のCATV統括運営会社(MSO)のジャパンケーブルネット(JCN)グループと,中部テレコミュニケーションの売上を合算したことにより,1301億円(18.7%)の増収とした。営業赤字は566億円で,前年度より赤字幅は81億円縮小した。

 2009年度(2010年3月期)の業績見通しは,連結ベースで営業収益が175億円減収(-0.5%)の3兆4800億円,営業利益が268億円増益(+6%)で4700億円とした。減収を見込む主な理由は,移動通信事業のARPU(1契約当たりの平均収入)が月額380円減少することと,端末の販売台数が2008年度より81万台減少し1000万台となることなど。固定通信事業の赤字幅は166億円縮小の400億円と見込んでいる。

 KDDIの小野寺正・社長兼会長は,2009年度の見通しについて「景気の減退と消費の冷え込みで,2008年度よりも厳しい競争になる。(端末の販売台数は)1000万台達成も楽観的には見ていない」とした。また2007年4月に公表した中期的な経営目標「チャレンジ2010」について,「一部を除いて達成は無理」との見方を示した。

 チャレンジ2010では「2010年度までに連結売上高4兆円,営業利益6000億円」などの数値目標を立てている。「目標設定時点では,移動通信端末の割賦販売制度の導入を予想していなかった」(小野寺社長),と予想外の減収要因によって目標達成が困難になったことを説明した。ただし,チャレンジ2010の目標の一つである「2010年度時点での固定通信部門の黒字化」については「水面に顔を出す程度かもしれないが堅持する」と,見通しを示した。

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