写真●VMware vSphere 4のコンセプト
写真●VMware vSphere 4のコンセプト
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 ヴイエムウェアは2009年4月22日、仮想化ソフトの新版「VMware vSphere 4」を発表した。VMware Infrastructure 3(VI3)の後継に当たる。クラウドコンピューティングでの利用を見据え、フォールトトレラント(FT)機能などを加えて可用性や管理性を高めた。廉価パッケージ投入で中堅中小企業の仮想化も促す。出荷予定は09年度第2四半期後半である。

 三木泰雄 社長は、「vSphere 4はクラウドの基盤となる製品。社内と社外のクラウドをvSphere 4で構築し、それらを連携することでリソースの最適化が図れる」と説明する。VI3に比べ性能と拡張性を高めた上で、(1)効率性、(2)管理性、(3)柔軟な選択肢という3つのコンセプトで機能を拡張した(写真)。

 性能/拡張性の面では、仮想マシンに割り当て可能なリソース量を引き上げた。vSphere 4の仮想マシンに対しては、仮想プロセッサを従来の2倍(8個)、仮想メモリーを従来の4倍(255Gバイト)、仮想NICを従来の2.5倍割り当てられる。

 (1)効率性は、クラウドといった大規模な仮想化環境を実現するために、移行や運用にかかるコストをこれまで以上に削減する。ストレージを仮想化するシンプロビジョニング「VMware vStorage Thin Provisioning」を新たに加え、ストレージの有効利用を図る。「VMware Distributed Power Management(DPM)」は、仮想マシンを自動的に移動(VMotion)して集約し、電力消費を抑えるための機能である。

 (2)管理性では、ネットワーク管理機能「VMware vNetwork Distributed Switch」やセキュリティ管理機能「VMware vShield Zones」を加え、設定作業を容易にした。仮想環境の可用性も高めた。FT機能「VMware Fault Tolerance」を使えば、従来のHA構成よりも迅速な障害復旧が可能だ。「VMware Data Recovery」と呼ぶ、仮想環境用のバックアップ機能も提供する。

 (3)柔軟な選択肢は、ユーザーがハードウエアやOS、アプリケーションを自由に選べることを指す。クラウド時代の到来を視野に、様々なクラウドを選択可能であることも目指す。

 製品ラインナップは中堅中小企業向けのオールインワン・パッケージ「Essentials」を加えた6種類。「VMware vSphere 4 Essentials」「同 Plus」は3サーバー(6CPU)まで利用できる製品。ハイパーバイザー「ESX/ESXi」を中心に、PlusではHA機能などが加わる。価格はEssentialsが12万4000円(市場予想価格)、同 Plusが37万4000円(同)である。

 「VMware vSphere 4 Standard」はHA機能やシンプロビジョニング機能を含み、価格は1CPU当たり9万9000円(市場予想価格)。「同 Advanced」はVMotionやvShield Zonesが加わり、価格は1CPU当たり28万円(同)。「同 Enterprise」はStorage VMotionやDPMが、「同 Enterprise Plus」はさらにDistributed Switchなどが加わる。価格は、Enterpriseが1CPU当たり35万9000円(同)、Enterprise Plusが1CPU当たり43万6000円(同)である。