MySQLの父 Michael "Monty" Widenius氏
MySQLの父 Michael "Monty" Widenius氏
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 「オープンソース・プロジェクトは誰にも所有できない。Red HatにとってのFedoraのような,オープンソースのMySQL開発プロジェクトが必要だ。私はそのために役割を果たすことができる」---MySQLのオリジナル開発者Michael “Monty”Widenius氏は2009年4月21日,自身のブログで「(Oracle CEOの)Ellison氏と話し合いたい」と表明した。

 Widenius氏はMySQLを最初に開発した技術者であり,MySQL ABの共同創業者。Myという名称は彼の娘の名前に由来する。米Sun MicrosystemsがMySQL ABを買収した後,現在はSunを離れている。

 Widenius氏によれば,彼だけでなく,多くのMySQLの主要技術者がすでにSunから去っているという。「SunによるMySQLの買収はスムーズにはいかなかった。ほとんどのMySQLプロジェクトおよびMySQLビジネスのリーダーがSunから離れている」(Widenius氏)。

 「誰もオープンソース・プロジェクトを所有することはできない。オープンソース・プロジェクトとはすなわち,実際にプロジェクトに取り組んでいるリーダーと開発者だ。企業がプロジェクトで働いている人々の信頼を失えば,彼らはプロジェクトを離れる。プロジェクトをフォーク(分岐)し,彼らが望むやり方でプロジェクトを進めるだろう」(Widenius氏)。

 「Oracleには,MySQLに対してとりうる3つのプランがある」とWidenius氏は言う。

 ひとつは「MySQLを殺すこと」。MySQLの開発をストップする。

 2つめは「MySQLを売却すること」。独占禁止法抵触の懸念,もしくはMySQLを必要としない場合,この選択肢が選ばれる可能性がある。

 3つめは「MySQLとオープンソースを受け入れ,MySQLが最も人気のあるオープンソース・データベースであり続けるようにすること」。ただしそのためにはOracleはオープンソースを理解して,戦略をとらなければならないとWidenius氏は述べる。

 Widenius氏は「Oracleはオープンソースの世界でベストの評価を得ているわけではなく,MySQLのユーザーや現在もSunに留まっているスタッフを引きとどめることは困難を伴う」とする。そして「Red HatにとってのFedoraのような,オープンソースのMySQL開発プロジェクトの実体が,かつてなく必要とされている」と述べた。FedoraはRed Hatが運営するコミュニティ開発プロジェクトである。Fedoraでは先進的な機能が実装される。そこで検証され,バグなどが十分に修正された成果を,Red Hatは商用製品であるRed Hat Enterprise Linuxに取り込んでいる。

 「そのために(Widenius氏の会社である)Monty Program ABが役割を果たすことができる」とWidenius氏は表明した。

 「Ellison氏,あなたは優れた戦術家だ」とWidenius氏は呼びかけ,「あなたと話し合いたい」とOracleにオープンソースMySQLプロジェクトの検討を提言した。

◎関連リンク
To be (free) or not to be (free):Monty Says(Michael Widenius氏のブログ)