厚生労働省は2009年4月21日、レセプト請求のオンライン化対応の先送りを盛り込んだ改正省令(案)の概要を公表した。今年度からオンライン請求義務化の対象となる医療機関のうち対応の済んでいない医療機関に対して、最長10年3月31日まで従来方法による請求を認めるもの。改正省令(案)の概要は政府行政ポータルサイトで公表、4月27日までパブリックコメントを受け付ける。改正省令は5月8日公布を予定する。

 医療機関で行った診療や調剤の内容を明細化したレセプトは、毎月末締めで翌月10日までに審査支払機関などに請求する。これまでは書面や光ディスクなどを使って請求していたが、08年4月診療分から段階的にオンライン請求が義務付けられている。09年4月診療分からは入院するベッドが400床未満の病院の一部とレセプト作成用のコンピュータ導入済みの薬局が義務化の対象となった。

 現行の省令では対象となる医療機関のレセプト請求はオンラインでしか受け付けないことになっている。このためオンライン化が遅れている医療機関は4月診療分以降の診療報酬を受け取れなくなる。資金繰りの悪化や廃業を引き起こし地域医療に重大な影響を与えることが懸念されるため、省令改正に踏み切った。概要では最初の請求期限である5月10日までにオンライン請求できない場合、10年3月31日までの間で厚生労働大臣が定める日までは書面や光ディスクなどで請求できるとしている。

 オンライン請求を開始するためには、医療機関は審査支払機関にあらかじめ開始届を提出する必要がある。しかし4月から対象となる約220施設の病院、約2600施設の薬局が3月末時点でも開始届が未提出だったことが4月上旬に明らかになった。

 厚生労働省が公表しているのは「療養の給付及び公費負担医療に関する費用の請求に関する省令の一部を改正する省令(案)」の概要(関連資料)。