IPAフォントの見本
IPAフォントの見本
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 独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)は2009年4月20日,同機構が無償配布しているフォントの新版「IPAフォントVer.3」を公開した。新しいオープンソース・ライセンスのもとで配布する。このため改変フォントの再配布が可能になった。

 IPAフォントは,オープンソース・デスクトップOSの利用環境向上などを目的として,IPAが商用フォントを買い取り無償配布している。Ver.3は明朝体とゴシック体それぞれに等幅およびプロポーショナルの2種類,計4書体があり,いずれも文字コード規格であるJIS X 0213:2004に準拠した約1万1000文字を備えている。

 これまで,IPAフォントの配布ライセンスはエンドユーザー向けライセンスがしかなく,改変を認めていなかった。新しいライセンス「IPAフォントライセンス Ver.1.0」は,オープンソース・ライセンスを認定している団体OSI(Open Source Initiative)からオープンソース・ライセンスであるとして認定された。これにより,Debian GNU/Linuxのように,フリーなライセンス以外のプロダクトを含ないポリシーを持つディストリビューションでの採用が容易になると見られる。

 IPAでは,「新しいライセンスの下では,フォントについてオープンな開発体制を構築できる。フォントの改善,文字の追加などに多くの人が参加できるようになる」としている。またIPAでは,IPAフォントをベースにフォントを開発するためのツールを提供する。IPAが運営する開発支援サイト「OSSオープン・ラボ」上で利用できる。使用の際にはオープン・ラボへの登録が必要になる。

 ただし,改変した派生フォントには「IPAフォント」という名称および「IPAフォント」を含む名称を使用することはできない。また派生フォントが乱立し、文字への信頼性が低下する事態を防ぐ目的で,「利用者がその意志により,派生フォントをオリジナルのフォントに戻せる方法を提供しなければならない」,「派生フォントはWebなどのだれもがアクセスできる方法により一般公開しなくてはならない」,「派生フォントには,それをさらに改変するために必要となる十分な情報を添付しなければならない」,「派生フォントにも同じIPAフォントライセンスを継承しなければならない」といった制限が設けられている。

 IPAフォントライセンス Ver.1.0がOSIのサイトに最初に掲載された際は,OSIサイト上のライセンスが,OSIに認定される前の古いライセンス案となっていた。古いライセンス案では「改変物を再配布するには差分ファイルの形式でなければならず,IPAフォントを改変したものをそのまま配布してはいけない」という制限があったが,認定された新しいライセンスでは,一定の条件のもと改変したフォントそのものの配布が許可されている。

◎関連リンク
IPAフォントのダウンロード || OSS iPedia(IPA)