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 日立製作所は2009年4月20日、4月1日付で就任した川村隆会長兼社長(写真)の就任会見を開いた。川村会長兼社長は「高信頼・高効率な情報通信技術(ICT)に支えられた社会インフラ事業である『社会イノベーション事業』が当社の最大の強み」として、同分野への傾斜を強めていく方針を明らかにした。これまでの成長拡大や総合電機化を進める路線が「今の時代には合わなくなってきた」ため、社会イノベーション事業へ軸足を移すという。

 社会イノベーション事業における重点施策として川村会長兼社長は、(1)「情報通信システムと電力・電機システムの融合」、(2)「真のグローバル企業への変容」、(3)「環境ビジネスの拡大」の三つを挙げた。 具体的には「海外に展開している産業システムを契機に情報ビジネスのグローバル化を推進」、「情報通信事業においては海外のコンサルティング事業を強化し、提案力と強いハードを中心にソリューション事業を拡大」、「国内に続き、欧州で立ち上げはじめた環境配慮型データセンター事業を強化」といった施策が並ぶ。いずれも情報通信分野に関する取り組みが主要な位置を占める。

 川村会長兼社長によると、「日立全体の売り上げの50~60%が社会イノベーション事業に分類される」。今後は「この比率を拡大していきたい」という。社会イノベーション事業には、情報通信システム、電力システム、環境・産業・交通システム、社会・都市システム、などが含まれる。

 グループの構造改革と最適化を実現するため、4月1日付で設立した新組織についても説明した。川村会長兼社長が自ら本部長を務める経営改革本部や営業強化推進本部などである。

 そのうちの一つ、情報・電力・電機融合事業推進本部は「情報通信システム事業と電力・電機システム事業の融合を進め、それを支える研究開発部門の役割を強化する」ことを目的とした組織。本部長には情報通信システム事業のトップである高橋直也副社長が就いた。