「インターネットは収穫期にあり,多くの高収益ベンチャが登場している。チャンスは個人にある」---シリコンバレーのコンサルティング会社 米Blueshift Global Partners社長の渡辺千賀氏は2009年4月18日,パソナテックのイベント「あすなろBLOGカンファレンス『未来×チェンジ×ブログ』」の講演で,経済危機発生後も,ITは依然として大きな可能性を持ち続けていると指摘した。

高収益ベンチャ,人気ネット・デバイスが登場

米Blueshift Global Partners社長 渡辺千賀氏
米Blueshift Global Partners社長 渡辺千賀氏
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 渡辺氏は三菱商事,マッキンゼー,ネオテニーを経て,日米の企業間提携などに関するコンサルティングを行う米Blueshift Global Partnersを設立。シリコンバレーで働く日本人をサポートするNPO「Japanese Technology Professionals Association(JTPA)」の共同代表を務めるととともに,シリコンバレーの産業と生活の情報を発信するブログOn Off and Beyondや英語学習ブログListen IT!を運営するブロガーとしても知られている。

 「(米Googleに続く大型上場がないことから)『ITはもう終わり』と言われることもある。しかし2000年前後のITバブル崩壊後に比べればシリコンバレーは傷を負っておらず,多くの未公開だが高収益なベンチャ企業が生まれている」と渡辺氏は言う。例えばレストラン予約サイトOpenTableは40億円の利益を上げており,靴販売サイトZapposは約1000億円の売り上げを達成している。2009年に入ってベンチャ・キャピタルによるIT系ベンチャへの投資は6億ドルに達しているという。

 またベンチャ企業がインターネット・サービスと組み合わせたハードウエアを生み出し,ヒットを放っている。無線LANを内蔵し撮影した画像を簡単にネットにアップできるメモリー・カード「Eye-fi」。ユーザーが作るウィジェット(ミニ・アプリケーション)をダウンロードすることで様々な用途に使える「Chumby」。USBコネクタを内蔵しネットに動画を簡単にアップできる「Flip Video」は,iPodよりも短期間で100万台に達し,開発元の米Pure Digitalは米Cisco Systemsに約590億円で買収された。「付加価値はネットのサービスにあり,最先端のデバイスや設計は必要ない。中国の製造会社と組むことで,短期間で製品化できる」(渡辺氏)。

 動画配信でも売り上げを伸ばすサービスが出てきている。郵送ビデオ・レンタルの米Netflixが始めたXBox向けの有料動画配信サービスは1000万人が登録し,15億分間のダウンロードがあった。「Netflixの株価はストップ高をつけた」(渡辺氏)。米FOXと米NBCという2大テレビ局によるインターネット動画配信サービスのHuluは昨年の広告収入が約65億円,2009年は120億円を見込む。