写真1●富士通研究所が開発した,自動データ消去機能付きUSBメモリー
写真1●富士通研究所が開発した,自動データ消去機能付きUSBメモリー
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 富士通研究所は2009年4月17日,自動データ消去機能を備えたUSBメモリーと,1ミリ秒で手のひら静脈認証が可能な技術を開発したと発表した。どちらも今後製品化を目指す技術である。

 自動データ消去機能搭載USBメモリーは,あらかじめ設定した時間が経過すると内部に保存しているデータをUSBメモリー自身が消去。盗難時や紛失時の情報漏洩を防ぐ技術である。消去までの時間はあらかじめ設定しておく。

写真2●内部にCPUやバッテリーを搭載する
写真2●内部にCPUやバッテリーを搭載する
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 外見は市販されているUSBメモリーと比べるとやや大きい(写真1)。内部にCPU,バッテリーなどを搭載しているためだ(写真2)。設定時間が経過するとCPUを使ってデータ消去プログラムが動作する仕組みだ。

 指定パソコン以外のパソコンに接続すると,自動的にデータを消去する機能や,USBメモリー内のデータの移動先を制限する機能も備える。これらは既存のUSBメモリー製品にはない機能である。ほかに,データの暗号化やデータ利用時のパスワード認証といった,既存製品と同様の機能もある。

歩きながらでも可能な,手のひら静脈認証

写真3●高速で手のひら静脈認証を可能にする装置
写真3●高速で手のひら静脈認証を可能にする装置
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 手のひら静脈認証技術の高度化にも取り組む。従来よりも高速に認証する技術を開発。動いている手のひらでも静脈認証を可能にした。従来はセンサー上に手のひらをかざして3秒程度かかっていた認証時間を,1秒以内に短縮した。

 1ミリ秒の露出時間で毎秒30フレーム,手のひらを撮影する(写真3)。これにより動いている手のひらを,ぶれなく撮影できるようにした。さらに,撮影した画像の中からもっとも認証しやすいものを選別するエンジンを強化。この二つの技術を組み合わせて,高速認証を実現したという。

 「非接触ICカード認証と同じ感覚で,手のひら静脈の認証が可能になる。歩きながらでも認証できる」(富士通研究所)。現在のような金融機関のATMやデータセンターの入り口だけでなく,オフィスビルの入退室や遊園地などのゲートでの利用を目指す。