新世代ネットワーク推進フォーラム総会で講演するピーター・フリーマン教授
新世代ネットワーク推進フォーラム総会で講演するピーター・フリーマン教授
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 「インターネットをベースにした新技術やベンチャーが次々と登場する一方で,犠牲者になったものがある」。2009年4月14日に開催された新世代ネットワーク推進フォーラムの総会でこう語るのは,米ジョージア工科大学のピーター・フリーマン教授である。

 インターネットの普及で,ヤフーやグーグルなどインターネットをベースとするベンチャー企業が数多く登場,米国にとってプラスの面が多い。しかし,いずれもが既存のインターネットの上で成り立っている事業である。優秀な技術者が,一攫千金を目指してベンチャー企業を目指した結果,「次世代を担うような本当のイノベーションを生み出せなくなっている」,「将来の取り組みに欠けている」という指摘だ。

 2004~2005年ころからNSF(全米科学財団)を通じて始まったGENI(Global Environment for Network Innovations,ジニー)と呼ぶ実験プロジェクトは,こうした危機感を背景に生まれたものだという。既存のインターネットとは別に,一から作ろうという思想(clean state)で構築されている。

 フリーマン教授は,オバマ新政権になって,NSFに30億ドル(約3000億円)の予算がついたことも紹介した。短期的には景気対策の意味合いがあり,長期的な科学・工学の発展を目指したものだが,予算執行時期は2010年初頭まで。巨額予算が,極めて短期的に投じられることになるが,予算を投じたプロジェクトの成功率を,従来の10~20%から30~40%まで引き上げることを目指している」(フリーマン教授)という。

 新世代ネットワーク推進フォーラムは,GENIと同じような問題意識を背景に2007年に設立された。欧州でも「FIRE」(Future Internet Research and Experimentation)などの取り組みがあり,相互に情報交換している。14日の総会では,各地域のプロジェクトのこれまでの取り組みや共同開催イベントの様子,新世代ネットワーク推進フォーラム内のワーキンググループの活動内容,平成21年度(2009年度)の活動方針などが紹介された。