ノベルでパートナー&アライアンス営業統括部に所属する飯田敏樹氏
ノベルでパートナー&アライアンス営業統括部に所属する飯田敏樹氏
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 「仮想化したからといって一率にコストが減るわけではない。ソフトウエアのライセンス費用や容量設計などを考慮すべきだ」---。ノベルの飯田敏樹氏は2009年4月14日,都内で開催した「仮想化フォーラム2009」で講演。サーバー仮想化ソフト(ハイパーバイザ)によるサーバー統合において効果的にコストを削減するための「ソフト選びのポイント」を紹介した。

 冒頭で飯田氏は,コスト削減における仮想化ソフトの選択ポイントとして,大きく2つの要素に言及した。1つは,ハイパーバイザのライセンスや仮想サーバー上で動作させるソフトウエアのライセンス体系とその費用である。もう1つは,既存システムを仮想化環境へ移行・統合させる場面で重要になる,マイグレーション・ソフトの機能だ。これら2つのポイントによって,コスト削減のレベルが変わってくるとした。

 まずライセンスに関しては,無償/有償/サポート有償といったハイパーバイザ自身のライセンス費用の問題のほかに,仮想サーバー上で動作させるOSやアプリケーションのライセンス体系と費用が重要になるという。例えば,仮想サーバーの台数単位で課金するライセンスなのか,物理サーバーのCPU数単位なのか,物理サーバーの台数単位なのか,といった具合だ。

 一方で,既存システムを仮想サーバー環境へと移行する場合には,パフォーマンスを劣化させることなく,必要最小限の物理リソースで運用する必要があるという。ここで重要になってくるのが,容量設計(サイジング)やサーバー・イメージの移行などを司るマイグレーション支援ソフトとなる。

物理サーバー台数課金のソフトウエアが有利

 ノベルは,上記の2つの要素を解決するソフトウエア製品を用意しているという。ライセンス費用を削減するためのソフトが,Linux OSである「SUSE Linux Enterprise Server 11」である。これが,仮想サーバー上で動作させるOSとなる。一方,サーバー・イメージのマイグレーション支援ソフトが,米Novellが買収した加PlateSpinの製品群だ。

 SUSE Linuxのメリットとして飯田氏は,各社ハイパーバイザとの親和性の高さを挙げる。まず,VMware専用カーネルを用意したことで,他のLinuxと比べて最大で72%性能が向上するという。Xen向けにも専用カーネルを用意しており,物理サーバーと同程度の性能が出せるという。また,Hyper-Vに関しては米MicrosoftによるSUSE Linuxサポートが手厚いとした。

 SUSE Linuxはライセンス費用も安いという。物理サーバーの台数ベースの課金方法を採用しており,仮想サーバーを何台運用しても構わないからだ。OSにはXenハイパーバイザを最初から含んでいるため,XenとSUSE Linuxのサポート問い合わせ窓口をノベルに一元化できる点もメリットが大きいとした。

マイグレーションのコスト削減効果もツール次第

 飯田氏は次に,マイグレーション支援ソフトとして,PlateSpin製品群のうち,中核ソフトとなる2製品の機能を紹介した。1つは,現状把握と容量設計のためのインベントリ管理/負荷計測ソフトである「PlateSpin PowerRecon」。もう1つは,PowerReconと連携するデータ移行ソフト(マイグレーション・ソフト)の「PlateSpin PowerMigrate」である。

 PowerReconは,移行対象となる既存サーバー(Windows/Linux/Solaris)をモニタリングして情報を収集/管理し,容量設計を支援するソフトである。時間軸によるサーバー負荷のトレンド(動向)も測定する。移行先となるハードウエアの性能情報も持っているため,どのサーバーを買えば移行できるのか,を示すことができる。

 PowerReconと連携するデータ移行ソフトのPowerMigrateは,仮想サーバー間(V2V)や物理サーバー間(P2P),物理と仮想サーバー間(P2V,V2P)などで,サーバー・イメージを移動させるソフトである。異なるハイパーバイザ(VMware,Hyper-V,Xen)や物理サーバーが混在する環境で,仮想サーバー・イメージを自在に移行できる。