独立行政法人の情報処理推進機構(IPA)は2009年4月10日、オフショア開発の動向をまとめた調査報告書「IT人材市場動向調査 調査報告概要版No.4」を公開した。相手先国別の満足度調査では、「インドは技術水準への満足度が高いが納期に不満」「ベトナムはコストへの満足感は高いが技術力と品質に不満」という結果だった。「中国はコストと納期への満足度は高いが、品質には不満」の声を挙げる回答が多かった。

 相手先国の割合は83.3%が中国。インドが15.3%、ベトナムが13.9%で続いた。

 オフショア開発の対象とする業務はプログラミングや単体テストが多かった。ただし中国には詳細設計を、インドには研究・開発を任せる傾向が強くなっているという

 アンケートに回答した企業のオフショア開発額の合計は年間958億円。未回答分を入れると日本のオフショア開発の規模は約1000億円とIPAは見積もる。

 オフショア開発の活用は大企業ほど多い。従業員数1001人以上の会社では76.7%が「オフショア開発の実績あり」と回答した。逆に100人以下や101~300人の企業では、この率が約10%に下がる。活用の目的は83.1%がコスト削減、70.6%が人員確保で、この2項目が突出している。

 今回の調査では、ユーザー企業による海外システム開発会社への直接発注の動向も調べた。海外にシステム開発を直接発注する企業の割合は回答全体の5.4%だった。その3分の1は資本関係のある海外企業への発注だった。

 今後、海外への直接発注を予定する企業は全体の3.0%だった。システム開発会社が一部工程を海外企業に委託する間接的なオフショア開発に比べると、直接的なオフショア開発は依然として低調といえる。