米Microsoftは2009年4月第2週,海賊版対策に関する技術の特許侵害訴訟で3億8800万ドルを支払うよう命じられた。同社は以前「シンガポールUnilocの特許を侵害していない」との略式判決を得ていたが,逆転敗訴となった。この係争で問題とされているのは,Unilocのソフトウエアのコピー制御に関する特許1件である。

 Unilocの特許は15年前のもので,「パソコン,ゲーム機,スマートフォン,携帯電話機などのデバイスについて,自然発生的な該当デバイス固有の不完全な特徴でユーザーの使用しているデバイスを特定し,その後『物理デバイスの指紋』をライセンスまたはアクセス証明書に組み込む方法」を記述している。Unilocは2003年にMicrosoftを提訴し,「Windows XP」「Office XP」「Windows Server 2003」の製品アクティベーション技術で,この特許を侵害されたと主張した。

 ロードアイランド州の米連邦地方裁判所は2008年8月,この係争の略式判決で「MicrosoftはUnilocの特許を侵害しておらず,特許自体の有効性にも疑問がある」とした。ところが,今回の担当判事はUnilocの特許を有効と判断し,Microsoftに損害賠償3億8800万ドルを支払うよう命令した。この金額は,特許侵害訴訟の損害賠償として過去最高クラスだ。

 Microsoftは上告するとしており,広報担当者は「非常に残念な陪審評決だ。当社は特許を侵害しておらず,特許も無効だと確信している。損害賠償には法律上も事実上も根拠がないはずである。裁判所に陪審評決の破棄を要求する」と述べた。