日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)は4月8日、「企業IT動向調査2009」を発表した。東証一部上場企業を中心とした大手ユーザーでは、2009年度のIT予算額の平均は28億4200万円で、2008年度より平均11%減になった。

 機械製造業のユーザー企業の44%が「30%以上減少」すると回答したほか、売上高1000億~1兆円の大企業の50%は「10%以上減少」するという。大企業製造業の業況判断指数が過去最悪を更新するなどの経済状況が、IT投資にも及んでいることが分かった。

 IT予算額が減少する状況でも、かろうじて堅調なのが保守運用費用である。2009年度の保守運用費用の予想額は予算ベースで平均0.9%減にとどめる。予算執行率についてもほぼ予算通りだという。一方、新規のIT投資の予想額は平均3.9%減で、予算執行率は9割とJUASは見ている。特に大型の新規投資は先延ばしにされる傾向が強い。

 このほか、IT投資の評価を実施する企業も大幅に増えていることが分かった。事前評価を実施している企業が前年の65%から75%に増加。事後評価についても、55%から70%へ増えた。IT投資を絞り込むうえで、優先順位を付けることが影響しているとみられる。今回の調査を担当した、積水化学工業の寺嶋一郎コーポレート情報システムグループ長は、「IT投資の本質が問われる時代になったことの表れだ」と語る。

 企業IT動向調査2009は、東証一部企業などのIT部門長と経営企画部門に対して実施。2008年10月から11月の本調査と、2009年3月に実施した追加調査で構成する。追加調査は、景気が急速に後退した影響を反映させるために、2009年度のIT予算に質問を絞って、今回初めて実施した。