富士通の永嶋寿人 PLMビジネスセンター長
富士通の永嶋寿人 PLMビジネスセンター長
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 富士通と富士通長野システムエンジニアリング(FNS)は2009年4月8日,設計・開発に関わる情報を一元管理するPDMアプリケーション群「PLEMIA」の新コンセプト「M3」を発表した。SIで追加していた機能の多くをパッケージに装備し,パッケージ商品としての競争力を高めるのが柱。「世界のトップレベルにある日本の製造業のニーズをしっかり受けとめて製品に反映し,早期に国内トップのPDMベンダーになりたい」と永嶋寿人産業・流通ソリューション本部PLMビジネスセンター長(写真)は意気込みを語る。PLEMIAはこれまでに200社余りに導入されているが,案件に占めるSIの比率が高く,SIビジネスの“部品”という色彩が強かった。

 M3で目指すPDMアプリケーションの基本コンセプトは,製品の開発・製造プロセスにおける手戻りを初期の段階で予見し,防止できるようにするというもの。今後3年ほどかけてパッケージ製品に実装していく。「製品情報,設計プロセス,設計リソースの3つの情報をバラバラではなく,有機的に組み合わせて活用できれば,設計の初期段階で問題を把握し,手が打てるようになる」とFNSの今泉啓輔PLMソリューション事業部事業部長代理は説明する。

 日本の製造業の特長である擦り合わせ型開発を支援する機能として,過去の試行錯誤で得た成果物の再利用を支援する機能も開発する。「製造業の多くはノウハウ活用のために成果物を管理しているが,もっぱら完成品の情報を保存,管理するだけになっている。しかし実際にはコスト優先のA案が採用されたものの,後に品質優先のB案が必要になった,ということが起きる」(今泉部長代理)。将来,部品表管理ソフトに,こうした試行錯誤の成果物をひも付ける機能の搭載も計画しているという。

 M3に基づいて提供するアプリケーションの条件として,「業務の変化に強い」ということも定義した。「業務が変わるとシステムも変える必要がある。しかし,現状では一度導入したシステムを変更するには大変な労力がいる。富士通のITベンダーとしてのノウハウを踏まえ,変化に強いITツールを提供する」(今泉部長代理)。

 M3に基づいたパッケージ製品は3段階で提供する。第1段階として,基本的な機能をまとめた部品表管理ソフト「PLEMIA BOM」を2009年4月下旬に出荷する。第2段階では,新コンセプトに基づいた製品範囲を拡大し,2010年1月以降に構想設計支援機能とマネジメント支援機能を提供する。2010年10月以降には,第3段階としてクラウド・コンピューティングへの対応や,「メカ」「エレキ」「ソフト」という異なる技術分野の設計者が協調作業できる機能の提供を進める計画だ。

 現在,PLEMIAの年間売上はSIを含めて150億円。今後3年間の売上目標は300億円という。