総務省は2009年4月7日,地上放送の「デジタル・アナログ変換サービス」の実証実験の結果を発表した。2009年3月9日から3月27日に,八木アンテナに委託する形で,地上デジタル放送の信号を能越ケーブルネットの珠洲放送センターのヘッドエンド(HE)でアナログ方式に変換して加入世帯に伝送する実証実験を行っていた。

 今回の実証実験では,NHKおよび民放の合計7チャンネルをアナログ変換して放送した。ケーブルテレビ(CATV)加入者には,ダイレクトメールや能越ケーブルネットのコミュニティーチャンネルなどで,実証実験の実施を周知した。

 総務省は実証実験の実施に伴い,デジ・アナ変換サービスの利用者などを対象にアンケート調査とヒアリングを行った。アンケート調査では,デジ・アナ変換サービス利用者から894件の回答を受けた。「アナログテレビでデジ・アナ変換サービスの映像を視聴できることについてどう思うか」という質問に対して,「非常に良い」「どちらかと言うと良いと思う」という回答の合計が全体の69%を占めた。

 「2011年7月以降にデジ・アナ変換サービスの映像をアナログテレビで視聴するか」については,「視聴したい」との回答が全体の44%だった。使用予定期間を見ると,「4年(アナログテレビが壊れるまでを含む)」という回答が77%だった。デジ・アナ変換サービスに対する視聴者のニーズが少なからずあることが明らかになった。ただし費用負担については,57%が「無料でないと視聴しない」と回答した。「毎月追加料金があっても視聴したい」との回答は6%にとどまった。

 デジ・アナ変換サービスでは,一般に「レターボックス」と呼ばれる画面に黒い帯が入った状態で映像が表示される。画面についての感想について尋ねたところ,「違和感は特になし」もしくは「多少違和感はあるが問題なし」との回答が合計61%だった。音声については,「違和感は特になし」「多少違和感はあるが問題なし」との回答が合計91%である。

 総務省は,デジ・アナ変換サービス利用者を対象にヒアリング調査も実施した(調査対象は44世帯)。「2011年7月以降にデジ・アナ変換サービスの映像をアナログテレビで視聴するか」という質問に対して,「視聴したい」という回答は84%だった。費用負担については,「無料でないと視聴しない」との回答が55%であったのに対して,「毎月追加料金があっても視聴したい」という回答が30%だった。アンケートに比べると,デジ・アナ変換サービスを評価する回答者が目立った。

■変更履歴
記事公開当初,3行目に「玖珠放送センター」とありましたが,正しくは「珠洲放送センター」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2009/04/09 21:12]