米Gartnerは米国時間2009年4月2日,強いコスト圧力の下,顧客満足度向上という経営課題の優先順位が下がっている傾向を指摘,コールセンターの改善により,コスト削減と顧客満足度の両立を図るべきだとの提言を公開した。

 同社が最近実施した企業の顧客サービスに関する調査結果によると,企業幹部の多くは顧客満足度向上の要であるコンタクト・センターの価値を過小評価しており,さらに,顧客サービス部門の予算不足によって競争力を失っている企業があることなどがわかったという。

 この調査は2008年第4四半期に,世界中の企業のCIO(最高情報責任者)1527人を対象に実施したものだが,2009年のビジネスにおける優先事項を尋ねた設問では,「顧客の獲得/維持」は5位にとどまったという。

 Gartnerのバイス・プレジデント兼CRM分野専門のアナリストであるMichael Maoz氏は,「顧客サービスはまだ重視されてはいるものの,企業はより大きな関心をコスト削減に向けている。経済の状況を考えればコスト削減は極めて重要だが,そのために顧客サービスを犠牲にしてはいけない」と警告する。

 同氏によると,顧客体験を損なわずにコスト削減を実現する上で,コンタクト・センターの果たす役割は非常に大きいという。Gartnerは,コンタクト・センターが低コストで大きな成果を上げるための条件として,「顧客サポートのパーソナライズ化」「コンタクト・センターのアプリケーション設計の改善」「コンタクト・センターへのWebベースの機能の組み込み」「迅速かつ正確な顧客応対」の4つを挙げている。

 Gartnerの予測では,2012年までに,顧客とのWebでのやりとりの管理も,コンタクト・センターの主要業務になってくる。オペレータは,電話で応対する際も,その顧客が顧客向けオンライン・コミュニティに書き込んだ内容について把握しておくことが期待されるようになる。そうした変化が進んだ結果として,2014年までには,コンタクト・センターの30%で,各オペレータの机の上に2台のモニターが設置されるようになるとしている。

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