ジャストシステムは2009年4月3日、FA用センサー大手のキーエンスと資本業務提携すると発表した。ジャストは第三者割当により新株を発行し、これをキーエンスが約45億円で引き受ける。この結果、キーエンスはジャスト株の43.96%を持つ筆頭株主になる。ジャストは増資で獲得した資金をテコに経営の立て直しを目指す。海外展開などの失敗により、ここ数年、ジャストの業績は低迷。2009年3月期も19億円の最終赤字を計上する見通し。

 キーエンスに対して第三者割当増資を実施し、4月20日までに約45億円を調達する。増資後、キーエンスは株式の43.96%を保有する筆頭株主となる。現在、筆頭株主の浮川和宣社長の持ち株比率は23.96%から13.43%に、同2位の浮川初子専務は20.26%から11.35%に下がる。

 調達した45億円のうち20億円を運転資金に、15億円を営業・マーケッティング力の強化に、10億円を債務の返済に充てる。財務体質の改善を図り、巻き返しを目指す。

 キーエンスは自社のビジネスモデルやノウハウをジャストに提供して支援する。キーエンスの市場情報をベースに、ジャストのソフト技術を付加した新商品の開発・販売にも取り組む。取締役3人と監査役1人もジャストに派遣する。

 ジャストは浮川社長・専務が1981年に設立したパソコン向けソフト会社。1980年代後半には日本語ワープロ「一太郎」が大ヒットし、一世をふうびした。ただ、90年代半ば以降、マイクロソフトをはじめとする外資の攻勢に苦戦。一太郎に並ぶ柱と期待した検索ソフトやXML関連ソフトの拡販も目論みどおりにはいかず、ここ数年、業績が低迷していた。2009年3月期の業績は、売上高が142億円、営業損益は11億円の赤字、経常損益は14億円の赤字、純損益は19億円の赤字になる見通し。