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 シマンテックは2009年4月3日、研究部門が開発した二つの新技術の説明会を開催した。一つはデスクトップ仮想化環境を使ったパソコンのセキュリティ技術「VIBES」。二つめはホワイトリストを使ったウイルス対策技術「DeepClean」である。いずれも製品化時期は未定。米シマンテックのジョー・パスクア リサーチ担当バイスプレジデント(写真)は「過去12カ月で100万以上の新種マルウェアが生成された。これは過去20年の生成数の総計よりも多い」としてセキュリティ強化の重要性を訴えた。

 VIBESはパソコン内に複数の仮想マシンを構成して、ユーザーが利用するコンテンツに応じてセキュリティの強さを使い分けられるようにする。仮想マシン環境は互いに隔離されているので、仮にある環境で悪意あるソフトウエアが動作しても別の環境に影響を及ぼさない。

 具体的には、信頼できないコンテンツを扱う際の「Playground」、通常時の「User」、機密情報入力時に使う「Trusted」の三つの環境を作る。それぞれをユーザーの操作に応じてシームレスに切り替える。例えば通信販売サイトの閲覧はUser環境で実行し、個人情報入力時はTrusted環境に自動的に切り替える。安全性が確認されていないファイルを開くときにはPlayground環境に切り替えるといった具合だ。

 もう一つのDeepCleanは安全なファイルの一覧「ホワイトリスト」を使ったウイルス対策技術である。悪意あるソフトウエアを動作させないため、安全性が確認されたファイルだけを特定するアプローチである。従来のウイルス対策が悪意あるソフトウエアを検知する方法であるのとは逆の考え方だ。すでに米国、欧州、アジアで試験運用を開始しているという。

 シマンテックの調査によると、すでに悪意あるソフトウエアの数が正規のソフトウエアの数を上回っているという。そこでソフトウエアの配信者情報などから安全なソフトウエアを特定する技術を開発。これを基にDeepCleanを作った。