写真●PHS MoU Groupを改称したXGPフォーラムを新たに発足した
写真●PHS MoU Groupを改称したXGPフォーラムを新たに発足した
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 無線通信技術「XGP(extended global platform)」の普及促進を目指す団体「XGPフォーラム」が2009年4月2日に発足した(写真)。XGPは以前「次世代PHS」と呼ばれていたもので,呼称を変更した。それに併せ団体の名称も従来の「PHS MoU Group」から改めた。4月にも国内でXGPの試験サービスを始めるウィルコムを支援するほか,PHSが普及している中国やタイなど日本以外の国での導入を目指す。

 ウィルコム取締役執行役員副社長の近 義起 XGPフォーラム副議長は,東京など都市部において「無線データ通信に求められる帯域は音声通話の帯域の1000倍に達する」と説明。そうした無線ブロードバンド通信を実現するには,変調方式やアンテナ技術の改善だけでなく,高い密度で基地局を配置できるXGPのマイクロセル方式が必要と主張した。

 基地局や端末を構成するハードウエアはWiMAXやLTEと同等の技術を採用していることから,ソフトウエアを変換するだけでXGPに対応できるという。「独自なシステムを抱える時代ではない。転換点にきている」(近氏)として,他方式と比べてハードウエアのコスト面で大差がないとした。

 海外展開については,ウィルコムのサービスを軌道に乗せた上で「日本のサービスをショウケースとして各国に紹介したい」(杉浦正一 XGPフォーラム事務局長)と方針を示した。中国政府は2011年までに中国内でのPHSサービスを終了するように通達を出したが,そうした状況下でも「チャンスは十分にある。このシステムでないと真のブロードバンドができないと訴える」(近氏)という方針だ。

 ウィルコムとXGPの技術開発で提携し,XGPフォーラムにも参画した中国ZTEは「中国の通信事業者がXGPを手がけることになれば,ZTEが中心となってネットワーク構築の協力をしていく」(チェンチャン副総裁)と意欲を見せる。

 XGPを海外で展開するには,それぞれの国で周波数の取得をする必要がある。だが,海外各国においてはTDD(time division duplex)バンドに空きが多いことなどから「周波数問題がXGPの普及に関連するとは考えていない」(近氏)という。

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