金融庁は2009年4月2日、「内部統制報告制度に関するQ&A(追加分)」を公表した。「重要な欠陥」の判断や期末日後に起こった事象による評価範囲の変更、内部統制報告書の記載内容に重点を置き、24のQ&Aを追加した。「内部統制報告制度に関するQ&A」は、いわゆる日本版SOX法(J-SOX)について金融庁などの窓口に寄せられた質問のうち、金融庁が公開する価値があると認めたものを整理した文書だ。

 今回の追加では、期末日後の重要な欠陥の取り扱いや評価範囲の変更などについて取り扱ったQ&Aが多い。「財務諸表監査で数値の誤りを監査人から指摘された場合(問68)」や、「決算短信を出した後に重要な誤り(虚偽記載)を発見し、有価証券報告書や内部統制報告書を訂正した場合(問70)」など、重要な欠陥に対する考え方を五つ追加した。

 「子会社の売却や業績の悪化などによって評価範囲となる重要な拠点の選定指標が一定の割合に達しない場合(問73、問74)」や、「期末日後に実施する統制手続きについて(問76)」、「付記事項に記載すべき後発事象(問83)」は、期末日以降の対応について考え方を示したQ&Aだ。

 ITに関係するのは「システム変更にかかる内部統制の評価方法(問78)」だ。システム変更があった時の評価手続きについての考え方を示している。また「付記事項に記載すべき後発事象(問83)」でもシステムに触れている。具体的には、基幹系システムの全面的な更改があった場合、後発事象に入る可能性があるとしている。

 内部統制報告書の記述内容については10のQ&Aを追加した。問105で「重要な欠陥があって、内部統制が有効でない場合」や「内部統制を整備せず評価をしなかった場合」など、例を挙げて説明する。

 「内部統制報告制度に関するQ&A」は金融庁が07年10月に公開(関連記事)し、08年6月に1度目の追加を実施(関連記事)。今回は2度目の追加で、全部で91問となった。内部統制報告書にかかわるQ&Aは通番ではなく、問101から始まっている。