日本OSS推進フォーラム幹事団顧問団合同会合
日本OSS推進フォーラム幹事団顧問団合同会合
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日本OSS推進フォーラムの2009年度体制
日本OSS推進フォーラムの2009年度体制
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 産官によるオープンソース・ソフトウエア普及推進団体「日本OSS推進フォーラム」は「クラウド戦略検討チーム」を新設し,クラウド・コンピューティングの推進に向けた取り組みを開始する。日本OSS推進フォーラムの事務局を務める独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が2009年4月1日,明らかにした。

 日本OSS推進フォーラムはNEC 代表取締役執行役員社長 矢野薫氏が代表幹事,NTTデータ,ソニー,日本情報システム・ユーザー協会(JUAS),日本IBM,日立製作所,富士通のトップが幹事となっているオープンソース・ソフトウエア普及推進団体。経済産業省と総務省がオブザーバとして参加している。

 同フォーラムは2009年3月30日に幹事団と顧問団の合同会合を開催し,2009年度の活動計画を採択した。ステアリング・コミッティにクラウド戦略検討チームを新設,クラウド・コンピューティングの課題解決に向けた検討を行う。

 クラウド戦略検討チームは,日本,中国,韓国のオープンソース・ソフトウエア推進団体が共同で開催した2008年11月の「第7回北東アジアOSS推進フォーラム」(関連記事)で,クラウド・コンピューティングに関する活動の共同推進に合意したことを受けて設置されたもの。社会的および技術的な観点から,企業同士が独自に進めるべき「競争領域」と企業間で協力すべき「協調領域」を抽出。後者に関しては企業間で共に進めていくことでイノベーションの推進や普及の拡大を図るとしている。
 日本OSS推進フォーラム ステアリング・コミッティ座長で日立製作所の鈴木友峰氏は「クラウドが台頭する中,技術の多様化やグローバル化が進み,1社だけではとても競争に勝ち残れない。業界として『競争と協調』について,ビジネスモデルの議論なども入れながら戦略を検討する。OSSにとらわれず,IT,ひいては産業界全体といった高い視点で検討をしていかなければならない。OSS推進フォーラムは、こうした新しいトピックについてオープンな議論をする場としても貴重だということが,今回の幹事団・顧問団会合でも確認された。OSSとの関係では,OSSスタックの検証などは必須になってきそうなので,合意できれば具体的なタスクフォースとしてどんどんスタートさせていく」とクラウド戦略の方針を語る。

 「OSSは徐々に進歩・浸透していくものだが,クラウドを同じ時間軸で考えているとあっという間に世界から遅れてしまうため,OSSとは違う時間軸で検討と実際の活動を展開していかなければならないと考えている。政府にも最近クラウド関係の取組みがでてきており,こうしたプロジェクトとの関係も検討していく必要があると考えている」(鈴木氏)。

 また同フォーラムの4つの部会で活動計画を採択した。各部会の2009年度活動計画は以下の通り。

・プラットフォーム部会

  • 北東アジアOSS推進フォーラムと連携した日中韓共同開発の着実な実施
  • OSSデスクトップの普及戦略の検討と他組織との連携の模索
  • OSSメッセージペディア(LinuxカーネルエラーメッセージDB)の本格普及
  • セキュリティ関連OSSの成熟度評価の実施
・アプリケーション部会
  • Ruby on RailsベースのOSSアプリケーションのSaaS対応と実証実験
  • OpenOffice.orgなどのデスクトップ上で動作するアプリケーションの更なる普及促進
  • 技術参照モデル(TRM)に対応するOSSのリストアップならびに公開
・組込みシステム部会
  • 組込み分野におけるOSS利用促進に際して「取り組むことの利点」,「解決するべき課題とその対策」をまとめた提言を経営者層に届ける活動の展開
  • 組込みOSS開発の展開が目覚しい海外地域との連携
・人材育成部会
  • IPAと連携して「オープンソースソフトウエアを活用したモデルカリキュラム」を整備
  • OSSも出るカリキュラムの活用提言,北東アジアOSS推進フォーラムの人材育成関連活動との連携
■変更履歴
日本OSS推進フォーラム ステアリング・コミッティ座長で日立製作所の鈴木友峰氏のコメントを追記しました。 [2009/04/01 20:13]