Gartnerは米国時間2009年3月26日,仮想デスクトップ環境をデータセンターなどで集中管理する「ホスト型仮想デスクトップ(HVD)」市場の今後に関する調査結果を発表した。それによると,世界の市場におけるHVDの台数は2009年の約50万台から順調に増加し,2013年には4900万台に達する見込みだ。

 またこの市場の売上高は,2009年の13~15億ドルから,2013年には657億ドルまで成長する見込み。世界の業務用パソコン市場全体に占めるHVD市場の割合は,同じ期間に約1%から約40%に拡大するとしている。

 Gartnerの試算によると,現在世界中にある従来型の業務用デスクトップ・パソコンの約15%は,2014年までにHVDに移行するという。これは接続機器数にして約6600万台分である。さらに米国では,世界平均の2倍のペースで移行が進む見通しで,これを接続機器数に換算すると2014年に約1800万台となる。

 Gartnerのリサーチ・ディレクタを務めるAnnette Jump氏は,「現時点でも,HVDを導入することで性能や管理性を向上させることはできるが,世界同時不況の影響で,HVDの普及は短期的にはそれほど進まないだろう」と予測する。同氏によると,IT予算削減のため,2009年に実施予定のHVD導入計画の多くが,2010~2011年に延期される可能性が高い。

 現在のHVD市場は,主にシンクライアントや仮想化に関連した製品ベンダーで占められており,大手パソコン・ベンダーの多くはHVDを提供していない。しかし,米Hewlett-Packardや米Dellは,ハードウエアをOEMするだけでなく,HVD市場への本格的な参入を検討している。Gartnerの予測によると,2012年までのHVD市場は,現在の市場リーダーである米VMwareがけん引することになる。また,今後18~24カ月のうちに,HVDコンポーネントを手がける米Citrixとの提携により,MicrosoftがHVD関連製品の提供を開始するという。

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