Microsoftの幹部が,クラウド・コンピューティングの標準化ガイドライン「Cloud Manifesto」に異議を唱えている。Microsoftの開発者向けプラットフォーム製品管理担当ディレクタであるSteven Martin氏は米国時間2009年3月26日,同社の開発者向けコミュニティにある同氏ブログに,「Cloud Manifesto策定におけるオープン性の欠如に落胆している」とのコメントを掲載した。

 Cloud Manifestoは現在,米国のIT企業数社が非公式に作成中と言われているガイドライン。Martin氏は,Cloud Manifestoの完成版になる予定の草案のコピーを非公式に見る機会があったという。「1社あるいはわずかな数社がクラウド・コンピューティングの発展プロセスを支配しようとしているようだ」と感想を述べている。同氏によると,一部に著者の偏見が反映され,他にも著者の意図がつかめない部分があったという。

 米メディアの報道(InfoWorld)によると,Cloud ManifestoはIBMが中心となって進めており,Cisco SystemsやAmazon,Hewlett-Packardなどが参加していると噂されている。

 Martin氏は,単一のベンダーがプロセスを独占するのではなく,複数のベンダーから支持を集め,顧客などの強い支持を得られる方法で策定を行うよう要請。Wikiのようなオープンな仕組みを通じて構築し,「Creative Commonsライセンス」を適用して公開するべきだと主張した。

 また同氏の立場については「Cloud Manifestoのコンセプト自体にはたいへん好感が持てる。顧客やアナリスト,ベンダーなどとクラウド・コンピューティングの方向性や原則についてオープンで協調的な話し合いをするなら,当社も強力にサポートする」と述べている。

[Martin氏のブログ投稿記事]