富士通とマイクロソフトは2009年3月26日、企業向けのシステム構築支援事業で提携すると発表した。4月1日から顧客企業に対する商談の発掘、企画、設計、構築、稼働後の運用保守まで、一連のプロセスをすべて共同で実施できるようにする。日本で初めてマイクロソフトの保守部隊に富士通の技術者が常駐する体制を作るなど、従来の協業関係を大幅に強化する。

 今回の協業は富士通のx86サーバー「PRIMERGY」とマイクロソフトのミドルウエア製品を組み合わせたシステムが対象。グループウエア「Exchange Server」、文書共有ソフト「SharePoint Server」、データベースソフト「SQL Server」を使う。

 両社はシステム構築のすべての段階で連携を強める。具体的には営業、設計・構築、運用保守の各段階で富士通とマイクロソフトの担当者がいっしょに顧客を訪れたり作業を実施したりする。すでに富士通は2008年12月、マイクロソフト製品による商談発掘活動と技術支援活動の組織をそれぞれ発足済み。同様な部隊を拡充する。さらに今後3年で、マイクロソフト製品の認定技術者を、新たに2000人育成する。

グローバルの協業も視野


 「マイクロソフトのExchangeやSharePoint、SQL Serverは世界のデファクトスタンダード製品。x86サーバーも今後、エンタープライズ分野で大きな成長が見込める」。富士通でSI事業のマーケティングを担当する中山恵子 経営執行役は、各種の調査結果を引用しながらマイクロソフト製品を“アピール”した。「Windowsを使ったシステム構築事業は当社のSI子会社が主体に手がけてきた。残念ながら当社自身は、これまで実績があまりなく、オラクル製品などが主体だった」。

 富士通は協業によって、「UNIX一辺倒」(中山経営執行役)だった富士通本体の大規模システム事業をマイクロソフト製品とx86サーバーの組み合わせにシフトしていく。マイクロソフトも「富士通の技術者との協業によって、不具合修正までにかかる時間を短縮できるなどの効果を期待できる」(前田浩 執行役ジャパングローバルパートナー統括本部担当)とする。

 富士通の中山経営執行役は「グローバルで今回と同様にマイクロソフトと協業する場合もあり得る」と話す。同社は野副州旦社長の指揮下、x86サーバーのグローバル展開を模索している。この4月には富士通シーメンス・コンピューターズ(FSC)を完全子会社化し、全世界でx86サーバーの製品ラインを統一する。「海外で戦うならばx86サーバーを使うのが当たり前」(中山経営執行役)であり、その武器としては“デファクト”であるマイクロソフト製品が最適というわけだ。