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 人材開発(ヒューマン・キャピタル・マネジメント:HCM)ソリューションをSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)で提供する大手ベンダー、米サクセスファクターズ(SuccessFactors)が、日本市場の開拓を進めている。2001年に創業したばかりだが、全世界で2500社以上の企業を獲得し、約450万ユーザーを抱えるという。ワールドワイドでの2008年度売上高は、対前年比で77%増と急成長している。米カリフォルニア州に本社を構え、日本では昨年10月にオフィスを立ち上げた。来日したジェイ・ローソン グローバル・エンタープライズ・セールス担当バイスプレジデントに今後の展開を聞いた(写真)。「日本市場を開拓するため、日本の有力なパートナーと積極的に協業していきたい」とローソン氏は話す。主な内容は以下の通り。

■当社のソリューションは、社員一人ひとりの能力を把握して評価したり、必要なトレーニングを実施して育成したりする、いわゆる「タレントマネジメント」や「パフォーマンスマネジメント」に特化している。360度評価のほか、目標管理や報酬管理、採用管理などの機能も備える。社員の能力開発やキャリア開発で、企業の競争力強化につなげることが狙いだ。ソリューションでは各機能を統合しており、人材開発業務の効率も向上する。

■世界的な不況が到来しているなかで顧客が求めるのは、いかに社員のパフォーマンスを向上させ、利益に結び付けるかである。ERP(統合基幹業務システム)ソフトにもHCMモジュールを備える製品はあるが、当社のソリューションほど豊富な機能を持っていないだろう。ERPソフトと競合するのではなく、むしろ補完する存在になると考えている。

■創業時からSaaSで提供しているが、SaaSベンダーが成長するには顧客に契約を更新し続けてもらうことが重要である。このため、SaaSベンダーは顧客満足度の向上に注力しないといけない。当社は常に顧客ニーズを探り、毎月のように新機能を追加するなど、より品質の高いサービスを提供すべく努力している。この結果、毎年約90%の顧客が更新している。

■さらに当社の強みは、単にソリューションを販売することではなく、コンサルティングまで実施している点だ。顧客にソリューションを活用してもらわなければ、価値が生まれない。顧客と一緒になってどうすれば最大の効果を発揮するかを考えている。顧客へのアプローチも、いきなりIT部門に売り込むのではなく、まずは人材開発部門になる。そして現場部門やIT部門を訪問し、最後に経営トップにアピールしていくというやり方を取る。

■日本市場開拓のためには、特にチャネル販売を重視している。私が今回、来日した目的もパートナー企業の開拓にある。今後の日本での販売目標はまだ言えないが、ワールドワイドで展開するソフトベンダーは一般に、アジアで全世界の売り上げの約15%を獲得し、アジアの売り上げの約半分は日本市場が占めているという。当社も、そうした数字を早く達成できるようにしたい。