画面●Aleri CEPの設定画面の例
画面●Aleri CEPの設定画面の例
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 サイベースは3月26日、ストリーミングデータ分析ツール「Aleri CEP」を国内で販売開始した。開発は米アレリ。CEP(Complex Event Processing:複合イベント処理)と呼ばれる分野のソフトウエアで、金融業や通信業などがターゲットである。価格は1096万9000円/デュアルコアから。

 CEPは、市況データなど刻々と流れてくるデータをミリ秒単位で分析するための技術。ストリーミングデータを蓄積することなく、メモリー上で高速にリアルタイム処理できることが特徴だ。データを分析し、あらかじめ設定した条件にマッチしたときにアクションを起動する機能を備える。Aleri CEPでは、こうした条件やアクションをGUIで設定可能(画面)。「海外での金融分野の実績に加え、アプリケーション開発のしやすさなどを評価してAleri CEPを選んだ」。サイベース マーケティング本部の冨樫明 本部長はこう説明する。

 時間やデータ件数といった単位でデータをセグメント化する「ウインドウ」と呼ぶ機能を用意する。ウインドウ内のデータに閉じた集計が可能だ。これを使えば、例えば「直近5分間の平均株価がいくらを超えたら、売買注文を出す」といったアプリケーションが容易に組める。
 
 CEPで処理したデータはそのままではメモリーから追い出されて失われる。データを保管・分析するために、サイベースは「Sybase RAP」を組み合わせることを想定する。金融ソリューショングループの岡田和也 課長は「自動売買といったアルゴリズミック・トレーディングでは、バックテスティングが大切になる。蓄積したデータを後から分析することでアルゴリズムに磨きがかけられる」と話す。

 他のCEP製品としては、日立製作所が08年11月に出荷したものなどがある。CEPはメモリー上でデータ処理することから、オンメモリーDBと比較されることが多い。オンメモリーDBは切れ目なく送られてくるイベントを処理する際、いったんデータを格納した上でトリガーなどを起動する必要がある。これに対してCEPは、イベントをそのまま処理することで、オンメモリーDBに比べて高速化を図っている。