会合の冒頭で野田聖子IT担当相が挨拶,前週に訪問したという韓国の家庭におけるIT活用事例などを語った
会合の冒頭で野田聖子IT担当相が挨拶,前週に訪問したという韓国の家庭におけるIT活用事例などを語った
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 IT戦略本部(高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部)の「IT戦略の今後の在り方に関する専門調査会」の第4回会合が2009年3月24日早朝に開催された。今回の会合では,当面の経済対策となる「三か年緊急プラン」の原案が提出され,各委員がコメントした。これらコメントを反映したうえで,IT戦略本部に報告することになった。

 原案は,2015年の社会イメージや基本的な考え方を示した基本的方針(第1章)と,具体的施策(第2章)の構成になっており,全部で28ページある。

 基本的方針では,「重点プロジェクトの推進」「新産業育成」「デジタル基盤の整備推進」という三つの柱を掲げた。

 第一の柱とした重点プロジェクトについては「電子政府」「健康情報」「人材育成」の三つを推進する。電子政府関連では,「国民電子私書箱」,「霞ヶ関クラウド」,「バーチャル会議システム」など,予算化をイメージした取り組みが並ぶ。政府CIOの設置も盛り込んでいる。

 健康情報関連では,「日本健康情報コミュニティ」構想を実現するとしている。ここでは健康情報のデジタル化と情報共有が掲げられており,具体的な取り組みとしてはWeb母子手帳やレセプト電算処理システムなどが挙げられている。

 人材育成については,学校での校内LAN,コンピュータ,電子黒板,デジタルテレビの導入,それに伴う新しい教育方法の開発・実施を目指すという。リテラシー向上やデジタル活用能力を持つ人材の育成,キャリア開発計画にも言及している。

 2番目の柱である産業育成については,新産業創出だけでなく,中小企業などの基盤整備,農林水産業活性化,地域活性化なども盛り込まれている。農林水産業活性化や地域活性化に関しては有害鳥獣の捕獲通報システムや農作業記録の自動化,観光・道案内システムなど,具体的かつ即物的なものが多いような印象だ。ここには,グリーンITやITSの実用化なども盛り込まれる。

 最後の柱であるデジタル基盤は,ブロードバンドや地上デジタル・テレビ,地理空間情報などを含むものである。

 関連施策の実施に当たり,3年間で3兆円の投資を行った場合,40万~50万人の雇用創出効果があると見込んでいる。