日本民間放送連盟の広瀬道貞会長(テレビ朝日相談役)は2009年3月19日の定例会見で,景気回復に向けて経済弱者である260万世帯に20インチ程度のデジタルテレビを支給するなどの対策を検討すべきという見解を示した。

 広瀬会長は,「政府の中で不況対策として地上放送のデジタル化問題を活用しようという声が徐々に出ている」としたうえで,「我々も悪乗りするわけではないが,デジタル化問題が経済活性化に役立つならば,これを100%景気浮揚に活用すべき」と述べた。具体的な対策としては,(1)NHK受信料全額免除世帯(被災世帯は除く)である約260万世帯に20インチ程度のデジタルテレビを配布する,(2)学校や福祉施設,病院などに大型テレビを配布する,(3)地上デジタル放送の受信にアンテナの取り替えが必要な集合住宅に補助金を支給する――などを挙げた。

 (1)と(2)のデジタルテレビの支給策を実行すれば,デジタルテレビの出荷台数が増えるため,地上デジタル放送受信機メーカーは恩恵を受ける。広瀬会長は,「価格競争だけでは日本のメーカーは競争力がなくなってしまう。メーカーには利益を出してもらい,(国際競争において)トップを走ってもらうのが日本にとって良いのではないか」と持論を述べた。(3)の集合住宅向けの補助金の給付については,「(改修工事の需要が増えるため)雇用創出効果が大きく,地上デジタル放送の普及にとってもプラスになる」とした。

 さらに広瀬会長は,「米国のようにテレビの買い替えを促すための援助策を一度は検討すべきではないか」と主張した。「『デジタルテレビを既に購入した人は損をする』という意見もあるが,そういう人には2台目のテレビやレコーダーの購入に使えば良い」として,実行の是非についての議論を推進すべきという見解を示した。