米Microsoftは2009年3月第2週,2007年より係争中の「Vista Capable」認定ロゴ・プログラム集団訴訟で,審理再開動議を出そうとしている原告側の動きに対抗し,裁判所へ文書を提出した。係争の発端は,1年以上前にさかのぼる(関連記事:「Vista Capable」集団訴訟はMicrosoftが人気者である証明?)。この集団訴訟の請求は米連邦裁判所の判事によって2009年2月に棄却された。だが,原告側は対象ユーザーを絞り込むことで審理の再開を狙っている。

 同社の提出した文書には,「裁判所は2008年2月,集団訴訟の請求を認めない理由として,原告の主張に詐欺的な因果関係が含まれている点を挙げた。裁判所は『個々の原告が詐欺的行為によって主張を展開している可能性はあるものの,個人的な経験を集団訴訟の原告全員に拡大して適用するなど,間違った穴に杭を打ち込むような行為である』とみなした」とある。

 この集団訴訟は,同社が2006年終わりにリリースしたクライアントOS「Windows Vista」のプロモーション活動に関係する。同社と提携しているパソコン・メーカーは,Windows Vista対応パソコンとして「Vista Capable」および「Vista Premium Ready」という2種類の製品を出した。このうち,ローエンド・モデルと位置付けられたVista Capableパソコンは,ユーザー・インタフェース「Aero Glass」といったWindows Vistaのハイエンド機能を使えないものが多かったのだ(関連記事:「Vistaを快適に使えるPCのスペックは?」,米MSが情報提供サイトを開設)。

 原告側の弁護士は,当初はVista Capableパソコンが市場に登場した2006年4月以降の,Vista Capableパソコン購入者全員を訴訟の原告の対象としようとしていた。これを,Windows Vistaへの優待アップグレード制度「Express Upgrade」利用者に限定しようとしている。この「Express Upgrade」を利用すると,「Windows XP」搭載Vista Capableパソコンの購入者が,格安または無料でWindows Vistaへアップグレードできる(関連記事:米MS,10月末以降にXPパソコンを購入したユーザーにVistaへの優待アップグレードを提供)。

 Microsoftは,訴訟対象者の条件を狭めようとする原告側の行為が,最初の訴訟よりも的外れであると考えている。同社は裁判所へ提出した文書で,「顧客は優待アップグレード制度でWindows Vistaのどのエディションを受け取れるか知っており(さらに,該当エディションのWindows Vistaで使える機能も知っている),その通りのエディションを受け取った。本訴訟で事実認定を担当する人物は,Express Upgrade利用者が(原告側の主張する)詐欺的行為のせいで希望していないエディションを受け取ったかどうかについて,事例ごとに検証する必要がある。各利用者の因果関係と損害は,集団訴訟で取り扱う問題でない」と指摘した。

 この件の審理は4月13日に行われる予定だ。ただし,原告側は集団訴訟の審理再開と原告の増える可能性をにらみ,開始延期を画策している。