世界知的所有権機関(WIPO)が米国時間2009年3月16日に発表した調査結果によると,2008年のドメイン名を巡る紛争は前年から8%増加し,過去最多の2329件に達した。有名企業や製品の名前を使ったドメイン名を先取りするサイバースクワッタ(不法占拠者)が増えており,紛争件数は2003年(1100件)以降,増加し続けている。

 ドメイン名やIPアドレスの管理を行う非営利組織のICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)が1999年に統一ドメイン名紛争処理方針(UDRP)を施行して以来,同方針に基づく紛争処理パネルを設置しているWIPOに持ち込まれた訴訟の数は1万4000件を超える。

 ICANNは,汎用トップ・レベル・ドメイン(gTLD)の数を大幅に増やす準備を進めており,ドメイン名の登録受け付けを2009年末頃から開始する予定である。新たなgTLDが増えることで,サイバースクワッタによるドメイン名の先取り行為に拍車がかかる可能性が高い。

 2008年に最も訴訟件数が多かった言語は英語(86%)。紛争の対象となったドメイン名の多くが,米国のレジストラ(登録業者)に登録されているためである。次いで,スペイン語,フランス語,オランダ語,ドイツ語,中国語,韓国語,日本語などが続く。

 また,国や地域ごとに割り当てられるトップ・レベル・ドメイン(ccTLD)の割合が増えるにつれ,ccTLD関連の紛争が占める割合も増加している。2000年にはわずか1%だったが,2007年は7%,2008年は13%にのぼった。

 訴訟件数が最も多い分野は「バイオテクノロジと医薬品」で9.9%。「銀行と金融」(9.4%)がわずかな差で2位となり,以下「インターネットとIT」(8.8%),「小売り」(8.1%),「飲食料品とレストラン」(7.2%)が続いた。

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