SEO(検索エンジン最適化)支援のパワーテクノロジーが広告ネットワーク事業に本格参入する。すでにブログ・パーツに配信する広告ネットワークを展開しているが,近く準大手のポータル(玄関)・サイトにも広告を配信する計画である。同社はSEO事業の派生で企業のサイト制作支援事業を強化しており,この一環となる集客支援サービスとして広告ネットワーク事業に本腰を入れる。

 パワーテクノロジーは2009年1月からブログ・パーツ向け広告配信事業を開始している。これに先立ち,ブログ・パーツ配布サービスの「トラックワード」,「ブログペット」,「トラックフィード」,「コラブロ」をそれぞれ所有企業から事業譲受した。ブログ・パーツ配布サービス4社で,広告配信可能メディア数は約50万サイト,配信実績のある広告主は約600社。総インプレッション数は8億5000万インプレッションとなる。

 ブログ・パーツ向け広告は成果報酬で広告主から広告料金を徴収する。アフィリエイト広告のように広告を掲載するメディアの運営主と成果報酬を分け合う必要がないため,広告ネットワーク運営企業となるパワーテクノロジーは成果報酬のすべてを収益とできる。収益性が高いことに加え,ブログに表示される広告単体への注目以外にも,時計やニュース・リーダーなど簡易ソフトウエアの「ウィジェット」のような性格を持つブログ・パーツの閲覧者や利用者向けにも広告訴求できる強みがあると見ている。

 ブログ・パーツ配布サービス4サイトの既存広告主や,パワーテクノロジーの既存クライアント,資本参加している電通とも協力して広告主を開拓。主に個人メディアを運営するブロガーに対しては,データ入力業務などのクラウド・ソーシングの業務委託サービスを提供するなどして,メディア数も順次,拡大していく計画だ。

 4月以降には広告ネットワークの配信先メディアを準大手ポータル・サイトにも拡大。主にポータル・サイトが抱える広告の空き枠向けにブログ・パーツ用広告に限らない様々な広告の配信を提案していく。ポータル・サイトにとっては,既存の純広告に影響を及ぼさない広告の空き枠を活用した新事業という位置付けになるため,賛同を得やすいとしている。

 パワーテクノロジーの2009年3月期は営業利益が前期比5割増の4億5000万円になる見通し。売上高は開示していない。同社はSEOを発展させた集客支援事業として,サイト制作事業も強化している。サイト制作の初期費用と,例えば金融機関であれば口座開設など月々の顧客獲得実績に応じた成功報酬を徴収する事業モデルを展開する。インターネット広告市場は拡大傾向にあるものの,今後はより費用対効果が精査される情勢になると判断している。既存のSEOに加え,自社で運用する広告ネットワークを活用した成果報酬による集客支援サービスを提案することで,大型サイト制作案件の受注に寄与すると見ている。サイト制作を含む広告ネットワーク事業の本格展開により,来期は数億円の増収効果を見込んでいる。