写真1●米eBay傘下のルクセンブルクSkypeでアジア太平洋地域担当副社長兼ジェネラル・マネージャを務めるDan Neary氏
写真1●米eBay傘下のルクセンブルクSkypeでアジア太平洋地域担当副社長兼ジェネラル・マネージャを務めるDan Neary氏
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写真2●“どこでもSkype”実現に向けた提供プラットフォームの拡充が当面の戦略
写真2●“どこでもSkype”実現に向けた提供プラットフォームの拡充が当面の戦略
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 米eBay傘下のルクセンブルクSkypeは2009年3月17日,P2P型ソフトフォン「Skype」のロードマップに関する説明会を都内で実施。アジア太平洋地域担当副社長兼ジェネラル・マネージャのDan Neary氏(写真1)が,対応プラットフォームの拡充による“どこでもSkype”構想,この2月に公開した高画質ビデオなどを売りにするSkype 4.0の設計思想,Skype認証製品を集めたECサイト「Skype Shop」の狙いなどを語った。

 Neary氏はまず,Skypeの好調ぶりをアピール。「ボイスメール」などの有料課金サービスと固定/携帯電話網への発信サービス「SkypeOut」を主な収益源とし,「2008年10月から12月までのSkype間の通話時間は200億分で,前年同期比で72%増の数字。有料サービスのSkypeOutによる通話時間は26億分で,こちらも前年同期比61%増と大幅な伸びを見せている」(Neary氏)という。

 この収益をバックグラウンドに「ハードウエアに縛られないコミュニケーション」を指向した技術開発を継続するのが同社の戦略だとNeary氏は言う(写真2)。

 「今,コミュニケーションの世界で起こっているのは,Skypeで『Liquid Communication』と呼んでいるような,端末に縛られないコミュニケーションの普及。オフィスではパソコン,社外では携帯,家に帰ればテレビ,極論すればキッチンの冷蔵庫を端末としてコミュニケーションを継続できるようにするのが当面のビジョンだ」(Neary氏)。

 現在Skypeは,パソコン向けOSではWindows,Mac OS,Linux,組み込み向けOSではWindows Mobileなどに向けて提供中。ベータ版としてAndroidでも使える携帯向けJava用「Skype Lite」を公開している。2009年1月にiPhone版を開発表明するなど,対応端末の拡充を進めている。

Skype通話の25%がテレビ会議

 説明会では,最新版Skypeの「Skype 4.0 for Windows」(関連記事)について,その狙いを日本担当カントリーマネージャーの岩田真一氏が解説。テレビ会議機能を前面に押し出した新ユーザー・インタフェースを採用した経緯について,「Skypeの通話状況を調べた結果,25%がテレビ会議による通話だった。そこでテレビ会議をすぐに始められるようにインタフェースを変えた」(同氏)と説明した。

 根幹となる音声通話のエンジンについては,新コーデックの「SILK」を搭載。広帯域音声利用時の帯域幅を50%減らしたという。また使い勝手については,Outlook/Outlook Express,Yahoo!メッセンジャーのアドレス帳をインポートする機能や,スピーカやマイクなどデバイスのセルフチェック用ウィザードを搭載することで改善を図った。

 このほか利用のしきいを下げる施策として,プリペイド・カードの「Skypeクレジット」などクレジット・カード以外の決済手段の拡充や,Skypeの認定を受けたヘッドセットなどを集めたECサイト「Skype Shop」を紹介。Skype Shopは現在のところ日本では利用できないが,「数週間後にオープンする予定」(岩田氏)という。