NTTコミュニケーションズは、香港のデータセンターで動かす仮想PCをネットワーク経由で利用できるサービス「仮想オフィスホスティング」を4月1日から提供する。専用のUSBキーさえあれば、どのPCでも社内と同じ環境で使えるようにする。

 手持ちのPCにUSBキーを装着すると、認証画面が開く。IDとパスワードで認証に成功すると、香港のデータセンターにある仮想PCに接続。そのデスクトップ画面が表示される仕組みだ。

 仮想PCはVMwareの仮想化ソフト上で動き、OSとしてWindows XPを利用できる。企業がActive Directoryを利用している場合は、仮想PCをドメインに参加させることが可能だ。これにより、社内LANに接続しているPCと同じデスクトップ環境を実現できる。

 NTTコミュニケーションズは同様のサービスを国内で提供済みだが、遅延が大きい海外からの利用には向いていなかった。今回、香港のデータセンターでサービスを提供することにより、アジア地域でサービスを利用する場合でも、通信の遅延なく快適に仮想PCを操作できる。

 今後はアジアだけでなくグローバルに展開する方針だ。使用するアプリケーションや仮想PCの多言語対応も進める。仮想PCで使うオフィス・ソフトやウイルス対策ソフトはオプションで提供する。サポート窓口の対応言語は日本語、英語、中国語の3つ。120ユーザーの場合、初期費用、月額料金ともに98万7000円である。

ハノイに国内事業者初のデータセンター

 NTTコムは、Exchange Serverのホスティングサービス「Hosted Exchenge」と中小企業向けWebグループウエアサービス「TeamWorks」も、4月1日に開始する。この2サービスもアジアを拠点とする企業向けに、香港のデータセンターのサーバーを使って提供する。前者のみ1台のサーバーを占有するため、アプリケーションのカスタマイズに対応する。

 サポート窓口は、仮想オフィスホスティングと同じ3カ国語で対応。料金はHosted Exchengeが500ユーザーの場合、初期費用、月額料金ともに135万円。TeamWorksは200ユーザーの場合、初期費用、月額彫金ともに40万円。

 また同日、ベトナム・ハノイに国内事業者としては初めてデータセンターを新設したことを明らかにした。名称は「ハノイタンロンデータセンター」で、4月12日に稼働する。

 「Tier 3相当の設備を備えており、ベトナムで実施される計画停電時にも安定した電力と空調を提供できる」と、グローバル事業本部の大井貴グローバルソリューション部長は新データセンターの特徴を説明する。現地に進出した日系企業や現地企業に、コロケーションサービスやホスティングサービスを提供する計画だ。サポート窓口は、日本語、英語、ベトナム語で対応する。

 NTTコムはさらに、国外のデータセンターを拡張する計画も明かした。09年3月に香港のデータセンターを拡張。5月には英国のデータセンター、09年夏に米国西海岸データセンターとシンガポールのデータセンターを拡張する方針だ。