写真1●KDDIの渉外・広報本部 渉外部 企画グループリーダー 岸田隆司 担当部長
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写真2●KDDIの渉外・広報本部 渉外部 小渕和治 au企画調整グループリーダー
写真2●KDDIの渉外・広報本部 渉外部 小渕和治 au企画調整グループリーダー
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 KDDIは2009年3月12日,総務省の接続政策委員会で検討が進んでいる「電気通信市場の環境変化に対応した接続ルールの見直し」(関連記事)について説明会を開催した。NTTグループの支配力が強い固定通信においては,NGN(次世代ネットワーク)や光通信の屋内配線について,NTT以外の事業者が各種設備を利用しやすくするルールの策定を求めた。一方,事業者間で競争が働いている移動体通信については,早急なルール変更は必要ないという見解を示した。

 KDDIは関東で自前の光回線サービスを展開しているが,それ以外の地域にサービスを拡大するとなれば,メタル回線敷設時のインフラ基盤を利用できるNTTグループと比べて敷設に時間がかかるという問題があるという。「NTTは100年かけて電話設備をやってきた。この部分は埋められない。ハンデがある」(KDDIの渉外・広報本部 渉外部 岸田隆司 企画グループリーダー,写真1)として,NTT以外の事業者が光回線の設備競争ができない事情を説明した。

 そうなれば,NTT以外の事業者はNTTの光回線を借りることになるが,そこでも問題があるという。例えば,NGNではアクセス回線と共にインターネットや放送領域をまとめた形でNTTグループがサービス提供しており,外部の事業者が相互接続できる余地がない。ADSLのように「電話でいえば交換機に近い部分というべきか,もう少し上のレイヤーでつなぐ方法があってもいい」(岸田グループリーダー)。

 NTT東西がマンションなどユーザー宅に設置した回線接続用の装置についても,競争事業者が再利用あるいは共用できるようにするべきだという。従来はマンション全体が同じ事業者のサービスを利用していたが,装置を共用できれば,一部の住人だけ別の事業者を選択することも可能となる。

接続料は事業者の事情によって異なる

 移動体通信については,NTTドコモが接続料の算定方法についてルールを決めるべきという議論(関連記事)を投げかけている。現状の接続料は,それぞれの事業社がコストと通信の利用量に基づいて算定している。「各社の施策によってコスト構造は違う。例えば,KDDIにはCDMA2000という特有のシステムを使っているハンデがある。周波数の再編で旧800M,新800MHzと2つの基地局を整備するのは重荷」(渉外・広報本部 渉外部 小渕和治 au企画調整グループリーダー,写真2)と説明。官製主導の算定方法のルール策定は必要なく,必要があれば民間同士で交渉すべきという立場を示した。

 また,ソフトバンクがイー・モバイルのMVNO(仮想移動体通信事業者)としてサービス(関連記事)を開始したことについて,通信事業者がMVNOになるべきではないという議論も起こっている。この点について,KDDIは設備投資を放棄するのでなければ,反対しないという立場を取った。「ツーカーの免許は東名阪だけだった。ほかのエリアはローミングしていたが,東名阪の設備投資を損なうものではなかった」(岸田グループリーダー)と例を挙げて説明した。