ヤマトホールディングスの金融部門であるヤマトフィナンシャルは、3月16日からインターネット通販事業者向けの決済サービス「クロネコwebコレクト」を強化する。パソコン用のウェブサイトと同様に、携帯電話からの注文に対して、電子マネーやクレジットカード払いができる環境を提供する。同社によると、配送を手がける物流会社が、携帯電話向け通販サイトの代金回収と電子マネーによる決済業務を手がけるのは初めてだという。

 富士経済の調査によると、モバイル通販は成長が見込まれている市場分野だ。2010年には、2008年の1.3倍に当たる4000億円市場になると見込まれている。ヤマトは市場拡大に合わせてサービスを強化し、ヤマト運輸の取り扱い貨物量の拡大にもつなげたい考え。パソコンと携帯の決済サービスで、2010年度には1万2000社の事業者を取り込み、30億円の手数料収入を目指す。

 20代の若い女性層を中心に携帯電話を使って通勤や昼食時など空き時間に衣料品や化粧品を購入するケースが増えている。同社が主に狙うのは、モバイル通販サイトを運営している年商100億円以下の中小通販事業者。既に2008年8月からパソコン対応の決済業務は提供しており、携帯向けのサービスも一括して提供できる環境を構築する。当初はVISAなど主要クレジットカード各社と電子マネー「Edy」、インターネット銀行であるイーバンク銀行に対応する。電子マネーは小額決済として活用することが多く、多額の手数料収入が見込めないため二の足を踏む事業者が多い。だが、ヤマトフィナンシャルによると既存サービスにおけるEdyの平均決済額が8000円であることから導入に踏み切った。ヤマトフィナンシャル決済ソリューション部の石王丸竜一部長は「すべての決済手段を一括して利用できることで、荷主である店舗も顧客も利便性が向上する。年内には、対応する電子マネーを3種類に増やす予定だ」という。

 携帯電話向けの販売サイトを構築している企業のほか、カタログ通販業者からの受注も見込んでいる。「昨年に提供開始したパソコン向けサービスを契約しているアパレル関連企業から、携帯向けにも提供してほしいという要望があった」(決済ソリューション部の荒木衣子マネージャー)。カタログ通販を見ている際に気に入った商品が見つかると携帯電話で決済するといったニーズにも注目している。