写真1●マイクロソフト 執行役 法務・政策企画統括本部の伊藤ゆみ子統括本部長
写真1●マイクロソフト 執行役 法務・政策企画統括本部の伊藤ゆみ子統括本部長
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写真2●全国女性会館協議会 常任理事 横浜市男女共同参画推進協会理事・統括本部長の桜井陽子氏
写真2●全国女性会館協議会 常任理事 横浜市男女共同参画推進協会理事・統括本部長の桜井陽子氏
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 マイクロソフトは2009年3月6日,NPO法人(特定非営利活動法人)と共同で進めている女性支援プログラムの活動成果と今後3年の活動計画を発表した。2009年4月から2012年3月までの3年で,5500人のプログラム参加と,参加者の35%を6カ月以内に就労させることを目標とする。

 女性支援プログラムの名称は,「女性のためのUP(Unlimited Potential=無限の可能性)プログラム全国版」。マイクロソフトと,女性関連施設を運営するNPO法人の全国女性会館協議会が共同で,2006年から取り組んでいる。経済的に困難な状況にある女性や起業を目指す女性を,パソコンやインターネットの習得機会を提供することで支援するのが狙いだ。

 女性のためのUPプログラム全国版の活動期間は2006年1月から2012年3月まで。2009年4月から2010年3月まで実施するフェーズ3に先駆け,2006~2007年にフェーズ1,2007~2009年3月にフェーズ2を実施。段階的に支援の内容・対象を拡大している。フェーズ1では,母子家庭の母親やDV(家庭内暴力)被害女性を対象に,就労支援を目的としたITスキル習得機会を提供。フェーズ2では,就労支援とITを活用した起業支援を活動の2本柱とした。

 マイクロソフト 執行役 法務・政策企画統括本部の伊藤ゆみ子統括本部長(写真1)によると,フェーズ1,2の活動を通じて,2008年10月までに4137人の女性が同プログラムに参加。参加者の12.9%がITスキル講習を受講した3カ月以内の就労を果たし,46人が起業したという。

 フェーズ3では,プログラム参加人数を5500人に拡大するとともに,参加者の35%が6カ月以内の就労を実現することを目標とする。支援対象も,若年無業(いわゆるニート)の女性の就労支援や,農村などで一次産業に従事する女性の起業支援へと拡大する。ITスキル講習では,「WordやExcelの使い方だけでなく,Office LiveやWindows Liveなどクラウド・コンピューティング環境での利用方法も習得してほしい」(伊藤氏)。

 若年ニート女性について,全国女性会館協議会 常任理事 横浜市男女共同参画推進協会理事・統括本部長の桜井陽子氏(写真2)は「若年ニート女性の存在は,家事手伝いというカテゴリに隠れて顕在化しにくい。そのため男性と比べて支援が届きにくい」と指摘する。農村女性への起業支援の必要性については「一次産業に従事する家庭の女性は,自分の労働報酬が家業の収入になってしまう。経済的に自立するのが困難」(桜井氏)と説明する。

 農村女性の起業支援活動は,2008年7月から先行して取り組み始めている。盛岡では,2008年8月から2009年1月まで,農業を営む女性67人を対象に「夢をかたちに!起業に向かってホップ・ステップ・ジャンプ」と題した全15回の講習会を開いた。ホップ編(入門),ステップ編(IT活用),ジャンプ編(事業計画完成)と,段階的に起業に関する講座を実施。その結果,2月に5人が起業したという。

 また,山梨では2008年7月から2009年3月まで,農業を営む女性24人を対象に起業のための講習会を開催している。メールあるいはインターネットの利用経験がほとんどないパソコン初心者が,10回の講習会を通じてブログやネット販売の知識を習得したという。ここでは「山梨直送便・ときめきネットショップ」というネット通販のポータル・サイトを立ち上げた。講習会受講者は,このサイト上で顔の見える生産者としてブログを通じて情報発信したり,農産物やジャムなどを販売している。