福岡ソフトバンクホークスとシスコシステムズは2009年3月3日，福岡Yahoo！JAPANドーム（ヤフードーム）の一角に新設した観戦シート「シスコゾーン」（写真1）を報道関係者に初公開した。シスコシステムズの技術や製品を使い，映像配信端末や無線LAN，テレビ会議システムなどが設置してあるのが特徴だ。各席に設置されたタッチパネル端末で終了したイニングの動画や好みのアングルの映像を見たり，観戦中にブログが更新したりできる。正式オープンはパ・リーグの2009年公式戦初戦が行われる4月3日。
2009年のシーズン開幕を前に，ヤフードームでは施設の改良を実施した。人工芝の下地や外野フェンスのカラーを変えたほか，貴賓室「スーパーボックス」の一部を新しいコンセプトの観戦ゾーンを集めた「ビクトリーウィング」に改装した。シスコゾーンは，このビクトリーウィング内の1塁側5階に設置された。ビクトリーウィングには，シスコゾーンのほかに，畳でくつろげる「和（なごみ）シート」や，遊具付きの子供向け観戦スペース「ECCキッズパーク」，団体で野球観戦を楽しめる「グループシート」がある。
シスコゾーンは全128席。全席ペアシート・スタイルで，すべてのシートにタッチパネル端末やパソコン用電源を装備するほか，無線LANによるインターネット・アクセス環境を用意する。無線LANにはシスコシステムズのAironetシリーズを採用。シスコシステムズ マネージング・ディレクターの堤浩幸氏（写真2右）は「パソコンだけでなく，iPhone 3GやPSP，ニンテンドーDS端末でも利用できる無線LAN環境」と説明する。これにより，野球場にパソコンを持ち込み，野球ブログをリアルタイム更新するなど，楽しみ方の幅が広がりそうだ。
シートに設置したタッチパネル端末では，日本野球機構公認のプロ野球データベース「NPB-BIS」から取得した「選手情報」の表示や，現在の試合の映像を4つのアングルから選んで観ることができる「映像アングル選択」（写真3）の操作が行える。また，終了したイニングの動画を視聴できる「イニングプレイバック」機能や，印象に残った選手に投票してMIP（Most Impressive Player）を選出する「MIP投票」機能（写真4）もある。端末への映像配信は，シスコシステムズの映像配信システム「Cisco Content Delivery System-Internet Streamer（CDS-IS）」を使用。「映像アングル選択」で好きな選手だけを見続けたり，見逃したシーンを「イニングプレイバック」でチェックしたりするという観戦が可能だ。
またシスコゾーンには，テレビ会議システム「Cisco Telepresence CTS-500」や大型ディスプレイ「Cisco Wall」なども用意されている。このテレビ会議システムを使って挨拶したソフトバンク代表取締役社長兼福岡ソフトバンクホークス・オーナーの孫正義氏（写真2中央）は，シスコゾーン設置に至った経緯について「ブロードバンドを提供する企業として，野球にどのような試みができるかを考えてきた」と説明。「シスコゾーンができて，IT企業の球団にふさわしいホーム・グラウンドになったと思う」と述べた。また，記者からシスコブースにいる福岡ソフトバンクホークスの秋山幸二監督（写真2左）へのコメントを求められると「とにかく，勝ってください」と一言。それに対して秋山監督は「わかりました」と笑顔で答えた。
シスコゾーンの正式オープンは2009年シーズンの初戦が行われる4月3日。3月8日からトライアル期間として，オープン戦のチケットを販売する。価格は2人1組で1万5000円。当面は1人分の販売は行わない。
公開当初，本文中でシスコシステムズ マネージング・ディレクターの堤氏のお名前を「堤幸行氏」と表記しておりましたが，正しくは「堤浩幸氏」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2009/03/04 14:30]
