米Microsoftは2009年3月2日(ドイツ時間),企業向けクラウド・コンピューティング・サービス「Microsoft Online Services(MOS)」に含まれるオンライン・アプリケーション・スイート「Business Productivity Online Suite(BPOS)」の試験提供を19カ国で始めたと発表した(関連記事:Microsoft,企業向けアプリケーション・サービス・スイートを19カ国で試験提供)。対象とする企業の規模は問わない。

 さらに同社は,電子メール/スケジュール管理/コラボレーションを一括提供する割り引きサービス「Business Productivity Online Deskless Worker Suite」の開始を延期することも明らかにした。同サービスは,この厳しい経済情勢で経費を削減したい企業の関心を集めるはずだ。

 Microsoft事業部門担当社長のStephen Elop氏は,「これらのサービスを利用すると,従業員の生産性向上を継続的に進めつつうまく経費を調整できる,という新たな可能性が企業にもたらされる。MOS導入により,IT関連支出の10~50%削減が可能だ」と述べる。

 同社はMOSブランドのクラウド・コンピューティング・サービスを,米国で2008年に開始した。このときのサービスは,ユーザーの多い電子メール/PIMサーバー「Exchange Server」とコラボレーション・サーバー「SharePoint Server」の機能を,同社がホスティング提供する形態である(関連記事:Microsoft,オンライン版「Exchange」「SharePoint」を米企業向けに正式提供)。

 今回の発表により,BPOSに含まれる「Exchange Online」と「SharePoint Online」はオーストリア,ベルギー,カナダ,デンマーク,フィンランド,フランス,ドイツ,アイルランド,イタリア,日本,オランダ,ニュージーランド,ノルウェー,ポルトガル,スペイン,スウェーデン,スイス,英国,米国で試験的に利用可能となった。同社によると,残るBPOSサービスは4月に試験運用/正式提供を始めるという。

 Business Productivity Online Deskless Worker Suiteは,全世界で4月に試験運用/正式提供を開始する。低料金のWeb対応クラウド・コンピューティング・サービスであり,現時点で電子メール/スケジュール管理/コラボレーション機能を利用していない企業が対象だ。料金は,1ユーザー当たり月額約2.56ユーロ(米国では2ドル)となる。電子メールとその他サービスを未導入の組織が,顧客の大半を占めるだろう。つまり,付加的な位置付けのサービスであり,多くの機能を取りそろえた総合的なスイート製品を置き換えるものではない。

 筆者は,SuperSite for WindowsでMOSに関する情報をいろいろと書いた。以下の記事(英文)が参考になると思う。

・「Software+Services:Microsoft Online Services Expands to Small Businesses」(ソフトウエア+サービス戦略:MOSの対象を小規模企業にも拡大/関連記事:オンライン・サービス「Microsoft Online Services」をあらゆる規模の企業へ
・「Microsoft Online Services:Pricing and Partner Model Revealed」(MOS:価格とパートナ・プログラムが明らかに/関連記事:Microsoft,企業向けオンライン・アプリ・サービスの料金体系や新メニューを発表