マイクロソフトは2009年3月4日、行動ターゲティング広告市場に参入する。同社のアドネットワーク「DRIVEpm」にターゲティング広告商品「DRIVEpm Selector Program」を追加し、販売を開始する。広告主はリターゲティング、行動ターゲティング、エリアターゲティングなどのターゲティング機能を利用可能になる。

 DRIVEpmはマイクロソフトが運営する「MSN」や「Windows Live」などの媒体を中心にネットワーク化されている。月間インプレッション数は約15億。新たに搭載するリターゲティング機能は、広告主サイトへの訪問履歴があるユーザーがDRIVEpmのネットワーク内のサイトに訪れた際、広告主サイトへ再訪問を促す広告を表示する機能。行動ターゲティング機能は過去のWebページ閲覧履歴に基づきユーザーの嗜好(しこう)性を分類し、広告を配信する機能。「自動車」「ビューティ」「トラベル」「就職/転職」「デジタル機器」の五つのカテゴリーで始める。

 そのほか、IPアドレスによってユーザーのアクセス元を判別し、関東、関西、東海、九州地方における都府県別にエリアターゲティングできる機能も加える。時間帯/曜日や、ユーザーのアクセス回線/OS/ブラウザー/ISPドメインなどによって配信する広告を出し分ける「ファインチューン」機能も用意。リターゲティングや行動ターゲティング、エリアターゲティングなどのメニューと自由に組み合わせられる。

 同社による試験的な導入の結果では、ターゲティングをしないユーザーと比べ、リターゲティング機能で約6倍のCVR(コンバージョン率)、行動ターゲティング機能で約3倍、地域ターゲティングで約2倍のCTR(クリック率)を記録したという。

 行動ターゲティングやリターゲティング広告は、広告主にとって高い効果が期待できる一方、媒体や広告代理店にとっては広告単価の向上と収益拡大を期待できる。そのため、ポータルサイト大手ではヤフーや楽天などが注力するほか、ミクシィも2月よりリターゲティング広告を開始。広告会社ではマイクロアド、アイメディアドライブなどが独自のネットワークを組み、事業展開している。

 競合は多いが、「日本ではまとめ買いの発想で運営されているネットワークが多いが、参加サイトの質が高く配信テクノロジーを最適化しているのがうちの強み。上限金額と単価を入れれば自動的に最適化がかかり、パフォーマンスの高いものがチョイスされる」(マイクロソフト アドバタイジングアドネットワーク本部本部長の味澤将宏氏)という点で差別化が図れるとしている。