3月2日に開催された「IT戦略の今後の在り方に関する専門調査会」
3月2日に開催された「IT戦略の今後の在り方に関する専門調査会」
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 「どういう日本を作りたいのか。それをITがどうドライブするのかを議論すべきだ」
 「いま国家論を言っている場合ではない。緊急性を重んじたほうがいい。新産業の創出ではなく,既存産業の変革ではないのか」
「既存産業への波及効果やグローバルな視点を入れて欲しい」
 「内容が食い足りない。歴史的,世界的,技術的に見て,いま自分たちがどこにいるのか,ベンチマークする必要がある」
 「本当に利便性が上がるのか。仮に上がったとして,安心・安全は同じように保証されるものなのか」
 「政府の方針と言うからには,強い決意が必要だ。取り組む分野が多すぎはしないか。同時に,国民生活にどう役に立つのか,成果は分かりやすく表現すべきだ」
 
 2009年3月2日に開催された「IT戦略の今後の在り方に関する専門調査会」の第3回会合は,出席した各委員による議論が白熱した。同調査会は,政府のIT戦略本部(高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部)の下部組織であり,緊急経済対策の3カ年プランと2015年までの国家IT戦略を検討している。

 今回の会合は,座長代理を務める慶應義塾大学の國領二郎教授が,これまでの議論やパブリックコメントをとりまとめる形で3カ年プランの原案を紹介した。原案は,理念と具体的な方策で構成されている。2015年に向けた基本理念は,「無駄を排除するデジタル・エコ社会」,「持続的に成長する社会」を国民主体で実現するという内容。その実現のため,「デジタル化されていない」「つながらない」「活用を妨げる制度や人材」という3つの壁を除去する必要があるとした。

 具体的な施策としては,電子行政の実現,日本健康情報スーパーハイウェイ構想の実施,環境対応型・知識創造型新産業の創出,人材の育成・活用プログラムの推進が挙がった。これら対象分野に3兆円を投資することで40万~50万人の雇用が見込めるとする。
 
 3カ年の緊急プランを決定する第4回の会合は,当初の予定を1週間繰り上げ,3月24日早朝に開催されることになった。これは,並行して進んでいる経済財政諮問会議の議論との足並みを揃えるためである。