写真1●プロセスモデリング・ツールの「jPASS!」の画面例
写真1●プロセスモデリング・ツールの「jPASS!」の画面例
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 BPM(ビジネスプロセスマネジメント)関連コンサルティングを手がけるパワードプロセスコンサルティング(PPC)は2009年2月27日、ビジネスプロセスの設計からテスト、実行までを統合した独製ツール、「jCOM1」の国内販売を開始した。「サブジェクト指向」と呼ぶ方法論を持ち込むことで、現場の利用者主導によるビジネスプロセスの可視化を容易にするという。

 jCOM1は、独ジェイコムワンが開発したBPMツール(写真1)。プロセスモデリング・ツールの「jPASS!」、プロセスの確認・テストツール「jLIVE!」、プロセスの実行ツール「jFLOW!」の三つのコンポーネントからなる。jPASS!で作成したプロセスをjLIVE!で検証・認証した後、jFLOW!で実行することで、業務変更時の時間短縮を可能にする。jFLOW!を介して、既存のERP(統合基幹業務システム)やレガシーシステムなどとの連携も図れる。

 jCOM1の特長の一つは、モデリングに「サブジェクト指向」と呼ぶ方法論を持つこと。従業員やマネジャーなど「だれが」何をするかを明確に意識させることで、より簡単にビジネスプロセスを記述できるとする。PPCの山川公正ディレクターによれば、「一般的なBPMツールでは、イベントドリブンで“行為”のみを記述するため、記述量が膨らみやすい」という。jCOM1では、三つのモデルテンプレートと五つのシンボルだけで、ビジネスプロセスをモデリングできるとしている。

 サブジェクト指向について、PPCの力正俊社長は、「日常的に業務をこなしているユーザーに、業務改善活動への参画意識を高められるし、IT部門は改善に伴う細かなシステム変更作業から解放される。現場が出すシステム変更要求のうち8割はjCOM1上で吸収できたという例があるほどだ」と説明する。力社長はこれまで、SAPジャパンやIDSシェアー・ジャパンで、業務プロセス改革に取り組んできたが、「実行形と連携していないツールでは、モデリングがモデリングで終わってしまう」と指摘する。

 PPCと業務提携したシステムインテグレータ、ザカティーコンサルティングの横山公一ディレクターは、jCOM1について「他のBPMツールと比較して、シンプルなモデリングが可能だ。加えて、イベントドリブン型の記述とも相互に変換できるため、SOA(サービス指向アーキテクチャ)対応が進むERPとの相性も高い」と話す。横山ディレクターが視察した、独自動車メーカーのアウディでは、「SAPを基盤に位置付け、jCOM1上で全社の業務ポータルを構築・展開している」という。

 jCOM1のライセンス料金は、モデラー1人、ワークフロー人数 20人を想定した最小構成で約 930万円。初年度 100社への導入を目指す。

■変更履歴
最後から2段落目の末尾の文章で、主語を「横川ディレクター」としていましたが、正しくは「横山ディレクター」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2009/02/27 19:05]