UQコミュニケーションズは2009年2月26日,「UQ WiMAX」の試験サービスを開始した(関連記事)。編集部でも試験サービスのモニター5000人に向けて送付されたUSBドングル型の端末「UD01NA」を入手し,実測スピードを計測した。編集部内では電波の表示が「弱」であったにもかかわらず3Mビット/秒以上の速度が出た。一方で,窓際から離れると,通信速度が落ちやすいという弱点も見えてきた。

 鏡のようなメタリックな印刷が施された箱を開けると,端末のほかに,ドライバのインストール方法が記載されたマニュアルが入っている(写真1写真2)。端末をノート・パソコンに差し込む(写真3)と,自動的に端末内のメモリーに記録されたインストーラが立ち上がる。マニュアルを見ながら作業を進めれば,ドライバのインストール作業に迷うことはない。再起動をすると,UQ WiMAXが利用可能な状態となる。再起動後には,接続用のユーティリティ・ソフトが現れ(写真4),しばらく待っていると接続できた。

写真1●UQ WiMAXの端末が入っている箱
写真1●UQ WiMAXの端末が入っている箱
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写真2●付属するマニュアル
写真2●付属するマニュアル
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写真3●NECアクセステクニカ製の端末「UD01NA」
写真3●NECアクセステクニカ製の端末「UD01NA」
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写真4●UQ WiMAXの接続ユーティリティ・ソフト
写真4●UQ WiMAXの接続ユーティリティ・ソフト
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 ユーティリティの表示を見ると,編集部内の電波は「弱」。この状態でWebブラウザーを開いてみた。Webメールや検索サイトなどテキストベースの内容を表示してみたが,じれったさは感じない。ニュースなど画像が多いWebサイトでは,表示されるまでには一瞬の間があるが,許容範囲と感じた。YouTubeの動画も,HD映像でなければ問題なく表示できた。

 UQコミュニケーションズは,電波の状態がよい場所では実効速度で15Mビット/秒以上の速度が出るというが,実際に利用する場合はどの程度の値なのか。これを調べるため,編集部内で場所を変えながら,速度がどう変化するのかを調べてみた。測定場所は3カ所。まず電波を捉えやすいと考えられる「窓際」。次に,窓から15m以上の距離があって壁を越えた位置にある「廊下」。3つ目が,廊下の先に位置する窓のない「倉庫」である。

 速度の測定には,速度測定サイト「speed.rbbtoday.com」を使用した。比較のために,イー・モバイルのUSB接続端末「D02HW」でも同じテストをした。なお,UQ WiMAXの理論上の最大速度は下り40Mビット/秒,上り10Mビット/秒。一方,イー・モバイルのD02HWは同じく下り7.2Mビット/秒,上り384kビット/秒である。

 測定結果は図1の通り。UQ WiMAXでは,窓際では下り3.45Mビット/秒と高速だったが,廊下では同2.94Mビット/秒,倉庫では同1.17Mビット/秒と,窓から離れるほど速度が落ち込む傾向が見られた。特に速度が落ちる傾向が大きかったのは上り回線。窓際,廊下,倉庫で,それぞれ0.527Mビット/秒,0.099Mビット/秒,0.031Mビット/秒という結果になった。

 これに対して,イー・モバイルでは場所による速度低下の傾向が見られなかった。原因としては,UQ WiMAXの電波が2.5GHz帯で,イー・モバイルの1.7GHz帯よりも周波数が高く,障害物によって減衰しやすいことが考えられる。

図1●編集部内で測定した結果<br>速度測定サイトは「speed.rbbtoday.com」を使用した。
図1●編集部内で測定した結果
速度測定サイトは「speed.rbbtoday.com」を使用した。
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 UQ WiMAXは窓から10m程度離れても,大きな速度の落ち込みはなく,快適に利用できた。ただ,建物の奥にある部屋などで利用する場合は,速度の落ち込みが激しい。喫茶店で利用する際には,窓際の席を確保するといったユーザーの工夫が必要となりそうだ。

 なお,今回のテストはあくまで速度を計るための目安としてテストしたものであり,利用環境の変化や基地局の整備の状況によって,通信速度の傾向は変化することをお断りしておく。