情報通信審議会情報通信政策部会の「デジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会」は2009年2月26日に第49回会合を開催した。今回の会合では,技術検討ワーキンググループ(WG)における議論の現状を事務局が報告した。技術検討WGは,デジタルコンテンツの再生装置に対してコピー制御ルールを順守させる手段である「エンフォースメント」についての議論を行っている。

 現在,地上デジタル放送などでは「B-CAS」による技術と契約によるエンフォースメントが採用されている。技術検討WGは,現行のB-CASカードを用いたエンフォースメントと並ぶ新たな選択肢として,四つを検討している。まず引き続きB-CAS方式の採用を前提にした二つの方式を示した。具体的には,(1)小型カードを使うB-CAS方式,(2)カードの事前実装するB-CAS方式――である。

 残りはB-CAS方式とは異なるRMPを採用する方式である。手段としては,(3)チップ方式,(4)ソフトウエア方式――の二つを検討している。チップメーカーやソフトウエアを組み込む受信機メーカーは,RMPのライセンス管理会社と契約を結ぶ。これを受けてライセンス会社はチップメーカーあるいは受信機メーカーに, RMPに関する仕様を開示する。

 放送のスクランブルを解除する鍵データを不正に取得しようとする第三者への対策として,契約でチップメーカーや受信機メーカーの鍵データの保護についての役割と責任を明確にする。さらに技術的な対策として,三つの鍵データで放送コンテンツを保護する。放送波で二つの鍵データを送出して,受信機の内部にある一つの鍵データを組み合わせて放送のスクランブルを解除する。放送事業者は放送波で送る二つの鍵のうち,一つについては自由に変更できるようにして,安全性を確保できるようにする。